法律(法)、政令(令)、実務の現場判断ルール(通達)が、どう有機的に噛み合っているのか。実務で一瞬でジャッジを下せるよう、余計な言葉を削ぎ落として解説しますぞ!
⚖️ 1. 所得税法(法律本体)のジャッジメント
| 条文番号 | 条文タイトル | カネ守り太郎流「一言・本質解説」 |
|---|---|---|
| 第37条 | 必要経費(総則) | 「売上原価」や「売上をあげるために直接かかった費用(一般管理費等)」が経費の基本。ただし、債務が確定していないものは経費にできないという大原則の砦です。 |
| 第51条1項 | 事業用固定資産の損失 | ガチ事業用の不動産やパソコンが壊れた・壊した(除却した)ら、保険金等でカバーされた分を除いて「全額その年の経費」にして良いという最強の経費化ルール! |
| 第51条2項 | 売掛金・貸付金の貸倒れ | 事業上の「売掛金が回収不能(貸倒れ)」になった損失も、51条の仲間として堂々とその年の経費になります。 |
| 第51条3項 | 山林の災害・盗難等 | 自分が持っている「山林」が災害等で損害を受けたら、事業所得か山林所得の経費にして良いというルール。 |
| 第51条4項 | 事業未満の業務資産損失 | 副業レベル(雑所得や、事業規模未満の不動産)の資産の損失は、「その副業の儲け(所得)」の額までしか引けません。赤字を給与所得など他の所得にぶつける(損益通算する)ことは許さないという厳しいルールです。 |
| 第62条 | 生活に不要な資産の災害 | 別荘や30万円超の貴金属などの「贅沢品」が災害等でやられても、必要経費にも雑損控除にもできません。「その年と翌年の譲渡所得(何かを売って出た利益)」からしか引けないという塩対応です。 |
| 第70条 | 純損失の繰越控除 | 基本は「青色申告」が前提の3年繰越ですが、2項・3項により、災害で事業用資産(棚卸資産や固定資産等)がやられた損失については、白色申告でも3年間の繰越し・控除が認められます! |
| 第71条 | 雑損失の繰越控除 | 私生活の資産(マイホームや一般家財等)が災害に遭い、後述の「雑損控除」でその年の税金から引ききれなかった分は、確定申告を出し続ける限り翌年以降3年間繰り越して控除できます。 |
| 第72条 | 雑損控除(所得控除) | 一般の生活用資産(マイホームや車等)が災害・盗難・横領で損害を受けた場合、一定の金額(原則、所得の10%超の部分など)を所得から差し引いて税金を安くするという救済措置です。 |
⚙️ 2. 所得税法施行令(政令)の具体的な計算ルール
| 政令番号 | 対象条文と内容 | カネ守り太郎流「一言・本質解説」 |
|---|---|---|
| 第140条 | 固定資産に準ずる資産の範囲 | 法51条の対象になるのは目に見える固定資産だけではありません。まだ経費化していない「繰延資産」(開業費や権利金など)も、対象に含まれることを確定させています。 |
| 第142条 | 損失金額の「元値(評価)」 | 壊れた資産のベース価格(取得費)はどう計算するか? ① 固定資産 = 税法上の未償却残高(簿価)をベースにする。 ② 山林 = これまでにかかった植林費・管理費の合計。 ③ 繰延資産 = 償却していない残り(未償却残高)。 |
| 第143条 | 昭和27年以前取得の特例 | 超々大昔(昭和27年末以前)から持っている歴史的な資産が壊れた時の、取得費計算の特例ルール(実務ではほぼお目にかかりませんな!)。 |
| 第178条 | 生活に不要な資産の定義と控除 | 「贅沢品」のブラックリストと、その処理順序を規定。 ① 競走馬やギャンブル用の動産。 ② 普段住まない「別荘」など趣味のための不動産。 ③ ゴルフ会員権や、1個30万円超の書画・骨とう・貴金属など。 これらが被災した場合は、その年と翌年の「短期譲渡所得」⇒「長期譲渡所得」の順番でしかマイナスできないように縛っています。 |
| 第206条 | 雑損控除の「災害関連支出」 | 壊れた家財の片付け費用(土砂撤去、障害物除去、取り壊し費用、1年以内の原状回復費用など)も、「災害関連支出」として雑損控除の対象に含めて良いという、納税者への救済範囲を広げる温かいルールです。 |
💡 3. 所得税基本通達(実務の現場判断のモノサシ)
| 通達番号 | 通達タイトル | カネ守り太郎流「一言・本質解説」 |
|---|---|---|
| 51-2 | 損失の金額 | 「損失した金額」の厳密な算式: 損失額 =(壊れる前の資産価値[簿価等])-(壊れた直後の価値 + 残った廃材等の価値) 例え壊れても、スクラップ鉄くず(廃材)として売れる分があれば、その価値は損失から引いて計算しなさい、という細かいツッコミです。 |
| 51-6 | 保険金、損害賠償金に類するもの | 「損失から引かなければならない保険金等」の範囲を定義。一般的な保険金だけでなく、「損保契約の見舞金」や「任意の互助組織(地域の共済等)から貰った災害見舞金」も補填されたものとして損失から引きなさいよ、という税務署の網の広さを示しています。 |
| 72-1 | 事業以外の業務用資産の特例 | ★実務上、超重要!★ 副業の貸家(事業に至らない業務用資産)が「災害・盗難」で被害に遭った場合、原則は「雑損控除」ですが、「全額をその不動産所得の必要経費(法51条4項に準ずる処理)として処理しちゃってもいいよ(その場合、雑損控除は使えない)」という、処理の二者択一(納税者がトクな方を選べる)を認める超実務的な重要通達です! |
この中で最も現場で登場するのは「所得税基本通達 72-1」と「法51条4項」の関係です。「事業規模に満たない貸家」が被災した際、給与など他の所得が多くて税率が高いクライアントなら、あえて「雑損控除(所得控除・3年繰越)」にした方がおトクになるケースがあります!どっちの武器が一番税金を安く削れるか、必ず両方シミュレーションするのがプロの立ち回りですな!
【条文】
所得税法
(必要経費)
第三十七条 その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額(事業所得の金額及び雑所得の金額のうち山林の伐採又は譲渡に係るもの並びに雑所得の金額のうち第三十五条第三項(公的年金等の定義)に規定する公的年金等に係るものを除く。)の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。
(資産損失の必要経費算入)
第五十一条 居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業の用に供される固定資産その他これに準ずる資産で政令で定めるものについて、取りこわし、除却、滅失(当該資産の損壊による価値の減少を含む。)その他の事由により生じた損失の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額及び資産の譲渡により又はこれに関連して生じたものを除く。)は、その者のその損失の生じた日の属する年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。
2 居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業について、その事業の遂行上生じた売掛金、貸付金、前渡金その他これらに準ずる債権の貸倒れその他政令で定める事由により生じた損失の金額は、その者のその損失の生じた日の属する年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。
3 災害又は盗難若しくは横領により居住者の有する山林について生じた損失の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除く。)は、その者のその損失の生じた日の属する年分の事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。
4 居住者の不動産所得若しくは雑所得を生ずべき業務の用に供され又はこれらの所得の基因となる資産(山林及び第六十二条第一項(生活に通常必要でない資産の災害による損失)に規定する資産を除く。)の損失の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額、資産の譲渡により又はこれに関連して生じたもの及び第一項若しくは第二項又は第七十二条第一項(雑損控除)に規定するものを除く。)は、それぞれ、その者のその損失の生じた日の属する年分の不動産所得の金額又は雑所得の金額(この項の規定を適用しないで計算したこれらの所得の金額とする。)を限度として、当該年分の不動産所得の金額又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入する。
5 第一項及び前二項に規定する損失の金額の計算に関し必要な事項は、政令で定める。
(生活に通常必要でない資産の災害による損失)
第六十二条 居住者が、災害又は盗難若しくは横領により、生活に通常必要でない資産として政令で定めるものについて受けた損失の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除く。)は、政令で定めるところにより、その者のその損失を受けた日の属する年分又はその翌年分の譲渡所得の金額の計算上控除すべき金額とみなす。
2 前項に規定する損失の金額の計算に関し必要な事項は、政令で定める。
(純損失の繰越控除)
第七十条 確定申告書を提出する居住者のその年の前年以前三年内の各年(その年分の所得税につき青色申告書を提出している年に限る。)において生じた純損失の金額(この項の規定により前年以前において控除されたもの及び第百四十二条第二項(純損失の繰戻しによる還付)の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となつたものを除く。)がある場合には、当該純損失の金額に相当する金額は、政令で定めるところにより、当該確定申告書に係る年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額の計算上控除する。
2 確定申告書を提出する居住者のその年の前年以前三年内の各年において生じた純損失の金額(前項の規定の適用を受けるもの及び第百四十二条第二項の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となつたものを除く。)のうち、当該各年において生じた次に掲げる損失の金額に係るもので政令で定めるものがあるときは、当該政令で定める純損失の金額に相当する金額は、政令で定めるところにより、当該申告書に係る年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額の計算上控除する。
一 変動所得の金額の計算上生じた損失の金額
二 被災事業用資産の損失の金額
3 前項第二号に掲げる被災事業用資産の損失の金額とは、棚卸資産又は第五十一条第一項若しくは第三項(資産損失の必要経費算入)に規定する資産の災害による損失の金額(その災害に関連するやむを得ない支出で政令で定めるものの金額を含むものとし、保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補塡される部分の金額を除く。)で前項第一号に掲げる損失の金額に該当しないものをいう。
4 第一項又は第二項の規定は、これらの規定に規定する居住者が純損失の金額が生じた年分の所得税につき確定申告書を提出し、かつ、それぞれその後において連続して確定申告書を提出している場合に限り、適用する。
5 第一項及び第二項の規定による控除は、純損失の繰越控除という。
(雑損失の繰越控除)
第七十一条 確定申告書を提出する居住者のその年の前年以前三年内の各年において生じた雑損失の金額(この項又は第七十二条第一項(雑損控除)の規定により前年以前において控除されたものを除く。)は、政令で定めるところにより、当該申告書に係る年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額の計算上控除する。
2 前項の規定は、同項の居住者が雑損失の金額が生じた年分の所得税につき確定申告書を提出し、かつ、その後において連続して確定申告書を提出している場合に限り、適用する。
3 第一項の規定による控除は、雑損失の繰越控除という。
(雑損控除)
第七十二条 居住者又はその者と生計を一にする配偶者その他の親族で政令で定めるものの有する資産(第六十二条第一項(生活に通常必要でない資産の災害による損失)及び第七十条第三項(被災事業用資産の損失の金額)に規定する資産を除く。)について災害又は盗難若しくは横領による損失が生じた場合(その災害又は盗難若しくは横領に関連してその居住者が政令で定めるやむを得ない支出をした場合を含む。)において、その年における当該損失の金額(当該支出をした金額を含むものとし、保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除く。以下この項において「損失の金額」という。)の合計額が次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に掲げる金額を超えるときは、その超える部分の金額を、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する。
一 その年における損失の金額に含まれる災害関連支出の金額(損失の金額のうち災害に直接関連して支出をした金額として政令で定める金額をいう。以下この項において同じ。)が五万円以下である場合(その年における災害関連支出の金額がない場合を含む。) その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額の十分の一に相当する金額
二 その年における損失の金額に含まれる災害関連支出の金額が五万円を超える場合 その年における損失の金額の合計額から災害関連支出の金額のうち五万円を超える部分の金額を控除した金額と前号に掲げる金額とのいずれか低い金額
三 その年における損失の金額がすべて災害関連支出の金額である場合 五万円と第一号に掲げる金額とのいずれか低い金額
2 前項に規定する損失の金額の計算に関し必要な事項は、政令で定める。
3 第一項の規定による控除は、雑損控除という。
所得税法施行令
(固定資産に準ずる資産の範囲)
第百四十条 法第五十一条第一項(資産損失の必要経費算入)に規定する政令で定める資産は、不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業に係る繰延資産のうちまだ必要経費に算入されていない部分とする。
(必要経費に算入される資産損失の金額)
第百四十二条 次の各号に掲げる資産について生じた法第五十一条第一項、第三項又は第四項(資産損失の必要経費算入)に規定する損失の金額の計算の基礎となるその資産の価額は、当該各号に掲げる金額とする。
一 固定資産 当該損失の生じた日にその資産の譲渡があつたものとみなして法第三十八条第一項又は第二項(譲渡所得の金額の計算上控除する取得費)の規定を適用した場合にその資産の取得費とされる金額に相当する金額
二 山林 当該損失の生じた日までに支出したその山林の植林費、取得に要した費用、管理費その他その山林の育成に要した費用の額
三 繰延資産 その繰延資産の額からその償却費として法第五十条(繰延資産の償却費の計算及びその償却の方法)の規定により当該損失の生じた日の属する年分以前の各年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入される金額の累積額を控除した金額
(昭和二十七年十二月三十一日以前に取得した資産の損失の金額の特例)
第百四十三条 次の各号に掲げる資産について生じた法第五十一条第一項、第三項又は第四項(資産損失の必要経費算入)に規定する損失の金額の計算の基礎となるその資産の価額は、前条第一号及び第二号の規定にかかわらず、当該各号に掲げる金額とする。
一 昭和二十七年十二月三十一日以前から引き続き所有していた固定資産 当該損失の生じた日にその資産の譲渡があつたものとみなして法第六十一条第二項又は第三項(昭和二十七年十二月三十一日以前に取得した資産の取得費)の規定を適用した場合にその資産の取得費とされる金額に相当する金額
二 昭和二十七年十二月三十一日以前から引き続き所有していた山林 第百七十一条(昭和二十七年十二月三十一日以前に取得した山林の取得費)の規定により計算したその山林の昭和二十八年一月一日における価額に相当する金額と同日から当該損失の生じた日までの間に支出した管理費その他その山林の育成に要した費用の額との合計額
(生活に通常必要でない資産の災害による損失額の計算等)
第百七十八条 法第六十二条第一項(生活に通常必要でない資産の災害による損失)に規定する政令で定めるものは、次に掲げる資産とする。
一 競走馬(その規模、収益の状況その他の事情に照らし事業と認められるものの用に供されるものを除く。)その他射こう的行為の手段となる動産
二 通常自己及び自己と生計を一にする親族が居住の用に供しない家屋で主として趣味、娯楽又は保養の用に供する目的で所有するものその他主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有する資産(前号又は次号に掲げる動産を除く。)
三 生活の用に供する動産で第二十五条(譲渡所得について非課税とされる生活用動産の範囲)の規定に該当しないもの
2 法第六十二条第一項の規定により、同項に規定する生活に通常必要でない資産について受けた同項に規定する損失の金額をその生じた日の属する年分及びその翌年分の譲渡所得の金額の計算上控除すべき金額とみなす場合には、次に定めるところによる。
一 まず、当該損失の金額をその生じた日の属する年分の法第三十三条第三項第一号(譲渡所得)に掲げる所得の金額の計算上控除すべき金額とし、当該所得の金額の計算上控除しきれない損失の金額があるときは、これを当該年分の同項第二号に掲げる所得の金額の計算上控除すべき金額とする。
二 前号の規定によりなお控除しきれない損失の金額があるときは、これをその生じた日の属する年の翌年分の法第三十三条第三項第一号に掲げる所得の金額の計算上控除すべき金額とし、なお控除しきれない損失の金額があるときは、これを当該翌年分の同項第二号に掲げる所得の金額の計算上控除すべき金額とする。
3 法第六十二条第一項に規定する生活に通常必要でない資産について受けた損失の金額の計算の基礎となるその資産の価額は、次の各号に掲げる資産の区分に応じ当該各号に掲げる金額とする。
一 法第三十八条第一項(譲渡所得の金額の計算上控除する取得費)に規定する資産(次号に掲げるものを除く。) 当該損失の生じた日にその資産の譲渡があつたものとみなして同項の規定(その資産が昭和二十七年十二月三十一日以前から引き続き所有していたものである場合には、法第六十一条第二項(昭和二十七年十二月三十一日以前に取得した資産の取得費)の規定)を適用した場合にその資産の取得費とされる金額に相当する金額
二 法第三十八条第二項に規定する資産 当該損失の生じた日にその資産の譲渡があつたものとみなして同項の規定(その資産が昭和二十七年十二月三十一日以前から引き続き所有していたものである場合には、法第六十一条第三項の規定)を適用した場合にその資産の取得費とされる金額に相当する金額
(雑損控除の対象となる雑損失の範囲等)
第二百六条 法第七十二条第一項(雑損控除)に規定する政令で定めるやむを得ない支出は、次に掲げる支出とする。
一 災害により法第七十二条第一項に規定する資産(以下この項において「住宅家財等」という。)が滅失し、損壊し、又はその価値が減少したことによる当該住宅家財等の取壊し又は除去のための支出その他の付随する支出
二 災害により住宅家財等が損壊し、又はその価値が減少した場合その他災害により当該住宅家財等を使用することが困難となつた場合において、その災害のやんだ日の翌日から一年を経過した日(大規模な災害の場合その他やむを得ない事情がある場合には、三年を経過した日)の前日までにした次に掲げる支出その他これらに類する支出
イ 災害により生じた土砂その他の障害物を除去するための支出
ロ 当該住宅家財等の原状回復のための支出(当該災害により生じた当該住宅家財等の第三項に規定する損失の金額に相当する部分の支出を除く。第四号において同じ。)
ハ 当該住宅家財等の損壊又はその価値の減少を防止するための支出
三 災害により住宅家財等につき現に被害が生じ、又はまさに被害が生ずるおそれがあると見込まれる場合において、当該住宅家財等に係る被害の拡大又は発生を防止するため緊急に必要な措置を講ずるための支出
四 盗難又は横領による損失が生じた住宅家財等の原状回復のための支出その他これに類する支出
2 法第七十二条第一項第一号に規定する政令で定める金額は、その年においてした前項第一号から第三号までに掲げる支出の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補塡される部分の金額を除く。)とする。
3 法第七十二条第一項の規定を適用する場合において、同項に規定する資産について受けた損失の金額は、当該損失を生じた時の直前におけるその資産の価額(その資産が次の各号に掲げる資産である場合には、当該価額又は当該各号に掲げる資産の区分に応じ当該各号に定める金額)を基礎として計算するものとする。
一 法第三十八条第二項(譲渡所得の金額の計算上控除する取得費)に規定する資産(次号及び第三号に掲げるものを除く。) 当該損失の生じた日にその資産の譲渡があつたものとみなして同項の規定(その資産が次に掲げる資産である場合には、次に掲げる資産の区分に応じそれぞれ次に定める規定)を適用した場合にその資産の取得費とされる金額に相当する金額
イ 昭和二十七年十二月三十一日以前から引き続き所有していた資産 法第六十一条第三項(昭和二十七年十二月三十一日以前に取得した資産の取得費等)の規定
ロ 法第六十条第一項第一号(贈与等により取得した資産の取得費等)に掲げる相続又は遺贈により取得した配偶者居住権の目的となつている建物 同条第二項の規定
ハ 法第六十条第一項第一号に掲げる相続又は遺贈により取得した配偶者居住権を有する居住者がその後において取得した当該配偶者居住権の目的となつていた建物 第百六十九条の二第七項(贈与等により取得した資産の取得費等)の規定
二 法第六十条第一項第一号に掲げる相続又は遺贈により取得した配偶者居住権 当該損失の生じた日に当該配偶者居住権の消滅があつたものとみなして同条第三項の規定を適用した場合に当該配偶者居住権の取得費とされる金額に相当する金額
三 法第六十条第一項第一号に掲げる相続又は遺贈により取得した配偶者居住権の目的となつている建物の敷地の用に供される土地(土地の上に存する権利を含む。)を当該配偶者居住権に基づき使用する権利 当該損失の生じた日に当該権利の消滅があつたものとみなして同条第三項の規定を適用した場合に当該権利の取得費とされる金額に相当する金額
4 その年において生じた法第七十二条第一項に規定する損失の金額のうちに法第七十一条の二第二項(特定非常災害に係る雑損失の繰越控除の特例)に規定する特定非常災害により生じた損失の金額と他の損失金額(当該特定非常災害により生じた損失の金額以外の法第七十二条第一項に規定する損失の金額をいう。)とがある場合におけるその年において生じた雑損失の金額は、当該特定非常災害により生じた損失の金額から順次成るものとする。
5 前項の場合において、雑損失の金額のうちに特定雑損失金額と他の雑損失金額とがあるときは、法第七十二条第一項の規定による控除については、他の雑損失金額から順次控除する。
所得税基本通達
(損失の金額)
51-2 法第51条第1項、第3項又は第4項に規定する損失の金額とは、資産そのものについて生じた損失の金額をいい、当該損失の金額は、当該資産について令第142条《必要経費に算入される資産損失の金額》又は第143条《昭和27年12月31日以前に取得した資産の損失の金額の特例》の規定を適用して計算した金額からその損失の基因となった事実の発生直後における当該資産の価額及び発生資材の価額の合計額を控除した残額に相当する金額とする。
(保険金、損害賠償金に類するものの範囲)
51-6 法第51条第1項、第3項又は第4項に規定する「その他これらに類するもの」には、次に掲げるようなものが含まれる。(平23課個2-33、課法9-9、課審4-46改正)
(1) 損害保険契約又は火災共済契約に基づき被災者が支払を受ける見舞金
(2) 資産の損害のを目的とする任意の互助組織から支払を受ける災害見舞金
(事業以外の業務用資産の災害等による損失)
72-1 不動産所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務(事業を除く。)の用に供され又はこれらの所得の基因となる資産(令第81条第1号《譲渡所得の基因とされない棚卸資産に準ずる資産》に規定する資産を含み、山林及び生活に通常必要でない資産を除く。)につき災害又は盗難若しくは横領(以下72-7までにおいて「災害等」という。)による損失が生じた場合において、居住者が当該損失の金額及び令第206条第1項各号《雑損控除の対象となる雑損失の範囲》に掲げる支出(資本的支出に該当するものを除く。)の額の全てを当該所得の金額の計算上必要経費に算入しているときは、これを認めるものとする。この場合において、当該損失の金額の必要経費算入については法第51条第4項《資産損失の必要経費算入》の規定に準じて取り扱うものとし、法第72条第1項の規定の適用はないものとする。(平23課個2-33、課法9-9、課審4-46、令4課個2-13、課法12-16、課審5-9改正)
(注) この取扱いの適用を受けた資産につき、修繕その他原状回復のため支出した費用の額があるときは、51-3の適用がある。