この頃 | 俳優・木村元を振り返ってみて。。

俳優・木村元を振り返ってみて。。

2021年1月13日、肺炎の為都内病院に救急搬送。同年1月下旬に院内クラスターでコロナ陽性。左下肢動脈閉塞も起こし、入同年2月某日死去。死因はコロナ。享年88。
父を思い出して。父の事。私の事。母の事。家族とは。
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カワサキラケットのテニスの頃、父が40代の頃になりますが、髪の毛の違い。。

やっぱり役者ですから悩んでいました。当時は主だった鬘メーカーはありませんでした。

あったらもう少し早めに対処して、ハッキリわからないようにシフト出来たのだと思います。

↓の写真は

やっぱり旅の時のプライベート写真ですが、

まだこの頃は50代くらいでしょうか。。違和感はないのですが。。。

 

 

久々に鬘を外して出演した作品があって、

私は父に地毛で仕事をしてもらいたいと思ったのです。

その作品が「竜飛岬」でした。

 

青森の貧しい漁師夫婦の家の近く竜飛岬に赤子が置き去りにされた。

その子の側には大金がおかれており、母親はどうも身投げをしたようだ。

その子を養女にした貧しい夫婦。

そのお金で養父は漁船に自動イカ釣り器を付け、一旗揚げようとする。

しかしその機械に足を引き込まれ、寝たきりとなる。

ある日、養父は妻が仕事に出ている間に年頃になった養女に手をつけようとしてしまい、

養女が逃げ出した後、自責の念にかられ、焼身自殺をする。。

その後大人になった養女が実の父親に復讐しようとして。。といった作品。

その養父役の時、

寝たきりになった時から父は地毛をボサボサにして出ていました。

これを確か。。マネージャーのKさんと父と私で試写会で観たのですが。。

私はKさんに聞いた。

「パパ。。地毛で仕事が出来ないのかしら。」

「もう少しネームバリューが無いとね。上手く切り替えられないの。」

確かにそうかもしれないと思った。

父のイメージはシャープなイメージでしたから。。

でも、私は人間を描くもっと骨太の映画や、スペシャルドラマなんかの役を。。地毛で演技する父の姿を見たいと思った。。

 

何故だろう?若作りも大切だけれど、何か偽物感を感じる時があったからです。。

 

そんな事を言ったら時代劇なんかみんな鬘ですが。。

 

そう。。時代劇の鬘。。進歩したと思います。地毛の様なおくれ毛なんか。。

異質なもの。例えば時代劇でも今の様な鬘に交じって昔、白塗り役者がつかっていたような鬘を白塗りしないまでも付けた役者が居たら違和感を覚えると思う。。

50代の父には少しの違和感しか無かったものの、60代70代になるにつれて私はその頃交流は無かったのですが、TVに出る父の姿に違和感を感じるようになっていった。

 

皮膚など。。映る質感に老いを感じ始めたころだったからかもしれないが。。

毎日会っていれば感じない様なたまに画面でしか視ないから感じるのかもしれないような。。

そんな違和感。。

マネージャーのKさんを亡くし、20年ち近くぶりで再会した父親。

役者は事実上引退となった父の姿を見た時、

役者としての見る影が無かったものの。。

この父の姿で演技しているのを見たかった。。と思いました。

 

とてもさわやかな、シャープな父の印象ですが、

凄い苦労を強いられた人で。。狂気も演じる事が出来る人。だった筈なのです。

それらが役者ではない父の表情に満ち溢れていました。

 

そのうちにそんなプライベートな父の姿もアップロードしたいと思う。