映画鑑賞文/『パラダイス -人生の値段-』寿命をお金で買える時代は幸福か? | たろの超趣味的雑文日記〜本と映画と音楽とBABYMETALその他諸々

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Netflixオリジナル作品『パラダイス ー人生の値段ー』を鑑賞。ドイツ製作のSFサスペンスで,配信開始は2023年7月27日。

 

 

臓器移植のように“寿命の移植”が可能になった近未来の世界が舞台。借金が原因で40年分の寿命を失った(つまり40年老化した)妻と,その妻を支えつつ失われた40年の寿命を取り返そうと奮闘する夫の2人に降りかかる過酷な運命が描かれている。

 

なかなか興味深い設定だなと思ったが,せっかくの良いアイデアを上手く脚本化できていない印象でなんとも残念。「若さこそすべて」という風潮,あるいはアンチエイジングに対する痛烈な批判になりうる作品なのに,途中で腰砕けになってしまっている。

 

寿命(時間)を手に入れて若返ることに固執している主要な2人の人物はいずれも女性で,結局のところ「若さ」に執着するのは女性と言っているに等しい。

 

また,奪われた40年を取り戻した女性が最初から最後まで「子供を持つこと」にこだわり続けているのも,「女性は子供を持ちたがる存在」という偏見を助長しかねない。

 

今のご時世にこの脚本はないんじゃないかと思う。

 

さらに,妻の「奪われた40年」を取り戻すことに極めて積極的だったのは夫だったのに,終盤になってなぜか妻の方が超積極的に行動するようになり,夫の方はトーンダウンしてしまう展開も意味不明。いったいなぜそうなった? その理由が不明で唐突感が否めない。しかも夫婦は別れてしまい,妻は別の男性の子を身籠るというまさかの結末。

 

脚本をもう少し何とかしてほしかった。