BABYMETALと聖飢魔IIが空前絶後の邂逅を果たしたライブに行ってきました。とんがった個性を持つ者同士のライブは素晴らしかったです。
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クリス・ウィタカーの『われら闇より天を見る』(早川書房,2022年)を読了。2021年の英国推理作家協会賞「ゴールド・ダガー賞」(最優秀長篇賞)受賞作にして,2023年「本屋大賞」で翻訳小説部門第1位に輝いた作品である。
○Amazon掲載の紹介文
「それが、ここに流れてるあたしたちの血。あたしたちは無法者なの」 アメリカ、カリフォルニア州。海沿いの町ケープ・ヘイヴン。30年前にひとりの少女命を落とした事件は、いまなお町に暗い影を落としている。自称無法者の少女ダッチェスは、30年前の事件から立ち直れずにいる母親と、まだ幼い弟とともに世の理不尽に抗いながら懸命に日々を送っていた。町の警察署長ウォークは、かつての事件で親友のヴィンセントが逮捕されるに至った証言をいまだに悔いており、過去に囚われたまま生きていた。彼らの町に刑期を終えたヴィンセントが帰ってくる。彼の帰還はかりそめの平穏を乱し、ダッチェスとウォークを巻き込んでいく。そして、新たな悲劇が……。苛烈な運命に翻弄されながらも、 彼女たちがたどり着いたあまりにも哀しい真相とは――?
とても読みごたえがあって面白かった。ミステリー小説に分類されるのだろうが,ミステリー小説という枠組みに収まらない多様性やスケールの大きさがあると思う。
悲しみ,苦しみ,憎悪,絶望といった言葉に象徴されるイメージが至る所から立ち昇る一方で,愛や希望や誇りがなんとか踏みとどまってその存在を主張している感じがする。ミステリーなのだが,絶望的な状況にありながら必死に生き抜く主人公の成長物語,あるいはロードムービー的小説とも言える。帯にある「人生の闇に差す光を求めて,決して泣かない少女は戦う」という文言が胸に迫る。
さまざまな要素が盛り込まれた多面性をもつ物語なので,読み方によって(あるいは読み手の感性によって)本書の持つイメージは異なるだろう。だが,ミステリー小説としてのキモ,肝心要の「主人公の母親を殺したのは誰か」と「主人公の父親ば誰か」という謎に対する回答がまとめて明かされるラストはけっしてハッピーなものではなく,むしろあまりにも不条理で救いようがない。それにもかかわらず,なぜか清々しさのようなものを感じさせるから不思議だ。とにもかくにも,とてつもなく濃密な物語である。
ところで本書の邦題は上記の通り『われら闇より天を見る』だが,原題は『WE BEGINAT THE END』である。このフレーズは物語のある側面を象徴する重要なキーワードであり,作中に何度か登場する。それほど重要なこの原題の日本語訳を邦題にしなかった理由が理解できない。『われら闇より天を見る』という表現は物語の何を象徴しているのだろうか。