たろの超趣味的雑文日記〜本と映画と音楽とBABYMETALその他諸々 -2ページ目

たろの超趣味的雑文日記〜本と映画と音楽とBABYMETALその他諸々

趣味的なことを中心に,いろいろと思ったことを徒然なるままに語ります。映画/本/スポーツ/世の中/旅行/音楽(ヘヴィ・メタル)/BABYMETALなど。

NetflixオリジナルのSFサスペンス作品『密航者』を鑑賞。配信開始は2021年4月。

 


重要なミッションを担って火星に向けて打ち上げられた宇宙船。その宇宙船内のつある装置の中に大怪我を負ったエンジニアが閉じ込められており……というストーリー。

タイトルに偽りありと感じた。宇宙船に紛れ込んだ人物には密航しようという意図はなく,単なるアクシデントで巻き込まれたというのが実情。ただし実はそれは推測(というか本人の弁)にすぎず,真相は不明である。何か裏がありそうな気配が濃厚で,「なぜ彼はそこにいたのか」が気になって仕方ない。良くも悪くも強いモヤモヤ感が残ってしまう。

とは言うものの,定員オーバーとなった宇宙船に襲いかかる試練を目の当たりにするとドキドキが止まらない。ミッション完遂が不可能になったばかりか,クルーの生命維持が危機的な状況に陥り,彼らは極めて難しい決断を迫られることになる。問題解決を図ろうとクルーが奮闘する様子は緊迫感に満ちていてスリルがあり,なかなか見ごたえがある。

しかしラストが最悪。なぜ医師が自己犠牲の精神を発揮して窮地を救おうとしたのかがまず不明。そして,彼女の勇気ある行動の結果、,されたクルーたちと宇宙船が救われたのかも不明。しり切れとんぼもいいところの結末は消化不良以外の何ものでもない。

 

 

冲方丁の『マルドゥック・アノニマス9』(ハヤカワ文庫、2024年5月発売)を読了。

 


特殊能力を持つ人々が陰謀渦巻く都市で抗争を繰り広げるシリーズ第9弾。

このシリーズを読むたびに思うことだが,敵と味方が入り乱れる熱い展開に開いた口が塞がらない。数十名に及ぶキャラが登場するのに,誰が誰だか分からなくなることはない。個性的なキャラクターたちは見事に描き分けられており,ストーリーは綺麗に整理されている。筆者の筆力には脱帽だ。

前作はアクションたっぷりのド派手な作風だった。しかし本作ではそのような過激なバトルシーンはほぼ皆無と言ってよい。身体的な抗争ではなく,それぞれの登場人物の頭脳を駆使した権謀術数渦巻く知的な戦いが物語の軸だ。一見地味そうに見えるものの,読めば読むほどその骨太のストーリーと緊迫感(そして愛)に満ちた展開にページを繰る手が止まらなくなる。

物語はいよいよクライマックスに向けて加速しているのだと思うが、それにしてもこの終わり方は……。早く続きが読みたい。