【ワシントン時事】米国防総省は22日、中東地域に展開していた海軍の空母「ドワイト・D・アイゼンハワー」を同日から帰航させ、別の空母「セオドア・ルーズベルト」を派遣すると発表した。イスラエルによるパレスチナ自治区ガザ攻撃に伴う中東の軍事的緊張が8カ月以上続いており、任務の長期化を受けた交代となる。
アイゼンハワーは昨年10月のイスラエルとイスラム組織ハマスの衝突以降、中東の紅海などに展開。イエメンの親イラン武装組織フーシ派による商船攻撃などに対応していた。欧州経由で米国に帰還する予定。米メディアによると、中東派遣以前から任務が長引いていた。
**********************************************************
通常、米空母打撃群の戦略的作戦行動は6か月だが、国防長官が延長命令を出していた。 乗組員の精神的、肉体的健康の限界を考慮すれば、いつ交代してもおかしくなかった。
そして、今度は空母ルーズベルトが交代で出動するわけだが、アイゼンハワーは、作戦目的の「通過商船をフーシ派から守る」ことも、「フーシ派の攻撃力を削いで、紅海封鎖を解除する」こともできなかった。
一方、フーシ派は帰還命令が出た空母アイゼンハワーを攻撃した、と発表した。 米軍は否定している。
***********************************************************
成果なしに帰還する空母アイゼンハワー
Photo AP
フーシ派、米空母攻撃成功と主張 紅海、米側は否定「全くの誤り」 共同通信
【ワシントン共同】イエメンの親イラン武装組織フーシ派は22日の声明で、紅海で米原子力空母ドワイト・アイゼンハワーを弾道、巡航ミサイルで攻撃したと主張した。フーシ派は攻撃が成功したと説明したが、米中央軍は「全くの誤りだ」と否定した。
フーシ派はアラビア海で別の船舶をミサイルで攻撃したとも表明。声明で「パレスチナ自治区ガザでのパレスチナ人包囲が解除されるまで、作戦を続ける」と強調した。
フーシ派はイスラエルや米国を敵視し、ガザでイスラエル軍と戦うイスラム組織ハマスに連帯を示している。紅海やアデン湾で商船への攻撃を繰り返している。
***********************************************************
米軍広報は同時に、過去24時間に紅海でフーシ派の無人水上艦3隻を破壊したとも発表。さらに、フーシ派が3発の対艦弾道ミサイルをアデン湾に発射したものの、米軍内、有志連合、商船から負傷者や大きな被害に関する報告を受け取っていない、とした。
もう何がホントなの? と思う人々も多いと推測するが、個人的な想像では、フーシ派が「○○を標的にして攻撃した」と発表したときは、攻撃したが命中したかどうか不明ということだろう。 「命中した」と発表したときは、本人たちはそう思っているのだろう。
海外SNSでも、アイゼンハワーに被害があったのかどうか白熱した議論になっていて、思わず苦笑してしまった。
というのは、客観的に事態を眺めれば、フーシ派の術中にハマっているわけだから。
まず、米軍広報は、攻撃があったのは他の地点だが、被害は報告されていない、としている。 これは、フーシ派の攻撃力が健在であることを追認したも同然だ。水上ドローンを破壊したことを発表するのは、海域のどこかで水上ドローン攻撃があったことを自ら認めている。
真の問題は、商船に対するフーシ派の攻撃が続行していることだ。 空母に命中したかどうかではない。 フーシ派の攻撃力が健在で、民間商船が無事に海域を通過できない、あるいは通過しようとしないのであれば、米英海軍の「繁栄の守護者作戦」は、まったく成功していないことになる。
下記は米国NBCの報道である。
***********************************************************
Yemen’s Houthi rebels target ship in the Gulf of Aden as the Eisenhower aircraft carrier heads home
アイゼンハワー空母が帰国の途につく中、イエメンのフーシ派反政府勢力はアデン湾の船舶を標的に
イランに支援されたフーシ派反体制派によると思われる攻撃は、今週2隻目の船が沈没した後に発生し、重要な海上回廊の緊張をエスカレートさせた
以下抜粋翻訳 by Kotaroe
イエメンのフーシ派反政府勢力による攻撃はアデン湾を航行中の商船を標的としたものだが、被害はなかった模様だと当局が土曜日に発表した。これは同組織による航路への最新の攻撃である。
フーシ派による今回の攻撃は、今週の船「チューター」の沈没事件に続くものである。これは、ガザ地区でのイスラエルとハマスの戦争をめぐる重要な海上回廊で、イランの支援を受けたフーシ派による船舶への攻撃作戦を新たにエスカレートさせたように見える。
一方、米軍は、フーシ派の攻撃に対する米国の対応を主導する空母ドワイト・D・アイゼンハワーに、2回の延長巡航を終えて帰国するよう命じた。
金曜日遅く標的となった船の船長は「船の近くで爆発」を見た、と英国軍の海上貿易作戦センターは述べた。その後の合同海事情報センターの報告によると、同船は当初、左舷沖で2回の爆発を報告し、その後3回の爆発を報告した。
同センターは、「船舶に衝突はなく、損傷もなかった」と明らかにした。「船と乗組員は無事で、次の寄港地に向かっていると報告されている」。
2014年以来イエメンの首都サヌアを掌握しているフーシ派は、土曜日の夜に攻撃を主張した。フーシ派の軍報道官であるヤヒヤ・サリー准将は、標的となった船をばら積み貨物船トランスワールド・ナビゲーターと特定した。
************************************************************
このニュースを読んだ米国人で、作戦がうまく行っていると思えるのは、かなりの痴呆が進行しているか、生来出来の悪い脳みそを持った気の毒な人だけだろう。
そして米国議会では、いよいよ膨れ上がる国家債務に対する議論が始まりそうだ(手遅れだけど)。
米CBO、24年度財政赤字見通し27%上方修正-政府借り入れに警鐘