世界の現時点におけるイスラエル像について、ほぼ適格に捉えている論評だ。 ただし、部分的に賛同できない点もある。 

 

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19 Jun, 2024 16:52
Israel’s isolation: An anti-Semitic horror story or inevitable outcome?
Opinions are split on the impact of the Gaza war on West Jerusalem, but the trend is worrying

(ttps://www.rt.com/news/599408-gaza-israel-isolation-opinions/)

 

イスラエルの孤立:反ユダヤ主義のホラーストーリーか、必然的な結果か?
ガザ戦争が西エルサレムに与える影響について意見が分かれているが、その傾向は憂うべきものだ

 

以下翻訳 by kotaroe

 

昨年10月にイスラエルとハマスの間で戦争が始まって以来、ボリビアコロンビアはユダヤ人国家との関係を断っている。チリ、ヨルダン、ブラジルは大使を召還し、トルコはガザでのイスラエルの残虐行為に対応して、イスラエルとの経済協力を停止した。

1,500人以上の死者と5,000人以上の負傷者を出した10月7日のハマスの攻撃を受けて、イスラエルがガザへの戦争を開始してから約10カ月が経過した。

ハマスを解体し、脅威とならないようにする目的の闘いにおいて、イスラエルは過激派を追跡するためにあらゆる手段を講じてきた。問題は、その過程で罪のない人々の命も奪ったことだ。その数については議論があるものの、パレスチナの統計によると、37,000人以上のパレスチナ人 (主に女性と子ども) が命を落としている。最近の世論調査では、ガザ住民の60%以上が紛争で親族を失っていることが明らかになった。


死者、負傷者、飢餓の映像は、ガザの完全な荒廃と相まって、世界を揺るがしている。イスラエルを非難し、ガザでの血なまぐさい戦争の終結を求める大規模な抗議行動は、毎週のように現実のものとなっている。大学のキャンパスでの集会や野営は、日常的な現象になっている。

 

孤立の拡大?
しかし、イスラエルの政策に対する不満は大衆だけに由来するものではない。ここ数カ月、各国の指導者も反イスラエル感情の合唱に加わっている。昨年11月、イスラエルのガザ攻撃から1カ月後、ボリビアはユダヤ人国家との関係を断絶した。数ヶ月後、コロンビアも同様の措置をとった。ヨルダン、チリ、ブラジルなどは大使を召還し、トルコのエルドアン大統領はイスラエルとの経済関係断絶を表明した。

欧州諸国も同調している。
ノルウェー、スペイン、アイルランド、スロベニアは、イスラエルの進行中の猛攻撃に対応して、すでにパレスチナを承認している。そして、より多くの国が同じことを約束し、イスラエルがパレスチナ人に対する現在の政策をやめなければイスラエルは孤立するというメッセージを送っている。一般的にイスラエルを支持している英国、フランス、ドイツ、米国などからも批判の声が上がっているが、これらの国の指導者たちはすでに忍耐の限界を示している。

イスラエルの元外交官でイスラエル外務省の元局長であるアロン・リエル博士は、現在進行中の戦争と国際舞台でのイスラエルの「立場の弱さ」だけでなく、イスラエルによるヨルダン川西岸地区の継続的な占領にも責任があるとしている。

報告によると、2023年はヨルダン川西岸の入植地建設と違法な前哨基地の認定で史上最高を記録した。2024年、イスラエル当局は紛争地域に新たに3,400戸を建設することを承認した。記録的な量のヨルダン川西岸の土地が国有財産として宣言された。

 

リエルは、イスラエルの地位が危険にさらされるかもしれないと考えている。「すべては継続次第だ」と彼は言う。「このような批判が今後数カ月も続けば、事態は深刻になるだろう。イスラエルのイメージと国際的地位を損なうだけでなく、パレスチナの国際的地位を向上させる可能性もある。(ベンジャミン・ネタニヤフ首相の現政権が避けようと努力してきたことだ)

イスラエルは強い?
しかし、誰もが同意しているわけではない。南アフリカシオニスト連盟の広報担当者ロリーン・マークスは、「イスラエルは世界で否定的に見られていると言うのは言い過ぎだ」と主張する。

「イスラエルは孤立していると断言することはできない」と彼女は言う。「
その反対だ。(イスラエルに対して) 驚異的な支持があり、多くの国がイスラエルに批判的である一方で、これまでのところ国際関係に大きな断絶は見られていない。」と同氏は補足した。

その理由の一つは、多くの国際的な関係者によってテロ組織と指定されているハマスについて、「イスラエルが誰を相手にしているのか」という世界の理解にある、と彼女は言う。これのもう一つの理由は、イスラエルが「強力な経済と技術の大国」-彼ら自身の成功のために必要であるという認識である可能性がある。

これらの国々が本当にパレスチナ人のことを気にかけているなら、パレスチナ人がハマスに抗議したときや、2013年にヤルムークのキャンプでガス攻撃を受けたときに、もっと声を上げていただろう。」とマークスは言う。

これらの国々の発言と行動は、それぞれの政治的思惑によって動かされている。例えば、私たちの同盟国の一つは、現在選挙サイクルの真っ只中にある。他の国には大規模なイスラム教徒のコミュニティがあり、彼らはそれを挫折させたくない。だから、メディアへの公の発言は一つのことであり、閉鎖されたドアの後ろで何が起こっているかは別のことだ。

 

イスラエル統計局が発表した最新データによると、2024年の中ハイテク産業による輸出は年間4.8%増加した。消費財の輸入は13.9%増加した。

イスラエルと他国との軍事協力も活発化している。イスラエル国防省は月曜日、ミサイル、ロケット、防空システムなど、2023年に締結された協定が全体の3分の1を超え、輸出が5年間で倍増したと発表した。4月、イスラエルが何百機ものイランの無人偵察機に攻撃されたとき、
米国、英国、フランス、ヨルダンの連合軍がイスラエルに救援に駆けつけ、湾岸諸国が支援したと言われている。今週初め、イスラエルのヘルジ・ハレビ参謀総長はマナマを訪れ、バーレーン、UAE、ヨルダン、サウジアラビアを含む多くの将軍たちと安全保障協力について話し合った。

問題は、将軍や政府が一般大衆の気分を代弁していないことが非常に多い、ということである。

 

最近の世論調査によると、サウジアラビアでは回答者の68%がイスラエルを承認するという考えに否定的だ、と答えた。同様の意見はモロッコとスーダンでも表明されており、それぞれ78%と81%が拒絶している。

欧州や米国でも反イスラエルの声は高い。2023年、米国ではユダヤ人に対するヘイトクライムが7,532件発生した。フランスでは1,676件(2022年は436件)、英国では4,103件、ドイツでは3,614件の反ユダヤ犯罪が報告されている。


10月以降、反ユダヤ主義が異常なまでに高まっている。10月以降、反ユダヤ主義は異常なまでに増加し、沸点に達した。世界の指導者たちは、そろそろ何か手を打つべき時だ。」

しかし、リエルは、
解決策は世界の指導者の手にあるわけではない、と考える。カギはイスラエルの政治家とその政策にある、と彼は言う。

彼らがすべきことは、国連安全保障理事会の計画(人質の返還と敵対行為の停止を前提として)を受け入れ、入植地の拡大を止め、入植者によるパレスチナ人への攻撃を防ぐために行動することだ」と彼は結論づけた。

 

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ユダヤ系圧力団体の政治力はしぶとい、と言う点は忘れてはいけないだろう。また、中東にもいわゆるコウモリ国家が存在することも留意する必要がある。

 

上記で触れていない重要なことで、ヒズボラ、フーシ派、イラク武装勢力による物流網攻撃でイスラエル経済が締め上げられている事実がある。

 

また、24年のハイテク産業輸出の伸びは、契約解除が直ちにはされない商習慣がある。 輸入の伸びは、インフレ率を考慮しないといけない。 

 

昨年10月7日のハマスの越境攻撃を探知できなかったセキュリティ網の脆弱さ、ヒズボラに突破されたファイヤーウォールの不完全さ、ヒズボラのロケット砲攻撃やイランの弾道ミサイルに突破された自慢の防空システム、アイアン・ドームの信頼性低下、民間人と兵士の区別がつかないAI兵器の未熟さなどは、ハイテク王国イスラエルの虚像を壊している。 業界のイスラエル向け投資も、インテルやサムソンに見られるように止まり始めた。

 

イスラエル国内からも、「このままではイスラエルの存続が危うい」との声が大きくなってきたことは変化の兆しかもしれないが、自身の政治生命が戦争継続に依存しているネタニヤフは、現実を認めようとはしていない。  

 

ネタニヤフとイスラエル軍との溝は、徐々に広がっているようだ。

 

「イスラエル占領軍の広報担当者ダニエル・ハガリは、『ハマスを排除する』という目標を達成することは非現実的である」と述べた。

「ハマスは思想だ。消滅させることができると思っている人は間違っている。」とハガリはチャンネル13のインタビューで述べた。彼はさらに、これを約束する者は「大衆を誤解させている」と付け加えた。

ガザでは「政府が代替案を見つけなければ、それは残るだろう。」と彼は主張した。

一方、ネタニヤフ首相の事務所は声明で、彼の安全保障内閣は「ハマスの軍事・統治能力の破壊を戦争目標の一つと定義した」と宣言した。

声明は、イスラエル軍が「もちろんこれにコミットしている」ことを強調している。

 

 


それでも現実としては、日々、パレスチナ人の虐殺は継続している。

 

Photo BBC