西側報道では、イランの大統領、外相の事故死に関して哀悼の意を表明する者は皆無で、逆に、この時とばかりに貶めようとする内容がほとんどだ。
抜粋
夜が更けても捜索救助隊が墜落現場を発見できないなか、国営テレビはライシ大統領のために祈る映像を全国に放送した。
一方、最高指導者のアリ・ハメネイ師は国民に対し、「心配しない」よう呼びかけるとともに、「国の仕事に支障は生じない」と述べた。
多くのイラン国民はこの発言を、政府がヘリコプターに搭乗していた人々に何が起こったかをすでに認識しており、朝には発表があるという示唆だと受け取った。
搭乗者たちの運命をめぐる疑念が確信に変わるにつれ、国内体制への反対派と支持派で反応は対照的になった。
反対派は、ライシ大統領の死を「朗報」として祝った。ライシ氏は、2022年の「女性、生命、自由」抗議運動に対する暴力的な弾圧や、1980年代後半の政治犯の大量処刑に関与したことで、多くの人々から非難されていた。
ペルシャ語のソーシャルメディア上では、ライシ氏に関するジョークや皮肉めいたコメントが多く見られたほか、2年前に殺されたりけがを負わされたりしたデモ参加者の写真も投稿された。
また、首都テヘランの数カ所で花火が打ち上げられる様子の映像もあった。
Xでは、「あまりに楽しげな雰囲気だから、政権は3日間の服喪の代わりに、3日間の軍による夜間外出禁止令を出すことを検討したほうがいいかもしれない」という投稿も見られた。
一方で政権の支持者らは、ハメネイ師の呼びかけに応じ、テヘランで少なくとも1カ所の広場に集まり、ヘリコプターに乗っていた人々に祈りをささげた。
国営メディアが20日朝に大統領の死を報じると、他の都市でも、支持者らが悲しみの集会を開いた。
ソーシャルメディアでは、このニュースを大っぴらに喜んでいる人々を非難し、中には脅迫するようなコメントも見られた。
宗教者のモハンマド・モハンマディ・タバル氏はXに、イラン国民は「浮かれている人々に毅然と打撃を与えるべきだ」と書き込んだ。一方インスタグラムではあるユーザーが、政権に殺された若者の写真に、ライシ大統領が「挑戦者に容赦しない」と宣言した音声をかぶせて投稿した。
脅迫はソーシャルメディアにとどまらなかった。司法当局も、大統領の死を祝ったことが判明した者は訴追されると警告した。
一方で、このニュースにほとんど無関心な「グレーゾーン」の国民も大勢いる。
最高指導者が最終的な権力を握り、反対派を取り締まる治安部隊を支配しているなか、多くのイラン人は、大統領の死によって大きな変化が起こるとは信じていない。
政府は大統領らの葬儀で参列者を増やすため、支持者を動員したとみられている。
(英語記事 How Iranians reacted to president's helicopter crash)
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Photo Reuters
イラン各地で行われた追悼の集会の参加者合計は、少なく評価するもので60万人、多いものでは1000万人弱とされている。
様々な映像、動画を見ると、60万人というのはかなり悪い冗談で、少なくとも数百万人は参加しているようだ。
西側の報道に反発するSNSへの投稿が多い。
訳
聖地コムで行われたライシ大統領と同僚たちの葬儀。
西側メディアは、故大統領の人気は極めて低い、と主張しています。
自分で判断してください。
The funeral ceremony for President Raisi and his companions in the holy city of Qom.
— Seyed Mohammad Marandi (@s_m_marandi) May 21, 2024
Western media claim that the late president is extremely unpopular.
Judge for yourself. pic.twitter.com/KQzxbK2BXd
訳
今日、我々は皆、敵の知恵遅れぶりとIQの低さを目の当たりにした。
何百万人ものイラン人が、イランの故ライシ大統領とその仲間たちに敬意を表して行進した。彼は国民の人だったからだ。しかし、自分たちの物語を裏付けるために、最も馬鹿げた議論を考え出すのが好きな人もいる。
敵がバカであることを神に感謝する。この感傷的な日々に少し笑わせてくれることを神に感謝する。
イラン・イスラム共和国&レジスタンス・ネクサス万歳
Today, we all have witnessed the retardness & low IQ of our enemies.
— Arya - آریا 🇮🇷🏴 (@AryJeay) May 22, 2024
Millions of Iranians marched in honor of the late Iranian president Raisi & his companions, out of love for their president, because he was a people’s person. But some still like to come up with the most… pic.twitter.com/MI4peRz41L
私はライシ故大統領を評価する十分な知見を持ち合わせていない。 イランを好きでも嫌いでもない。きれいな女性のボディラインを見て楽しむことのできないイランに住みたいとは思わない。
しかし、これだけは言える。G7諸国のどの政治リーダーが亡くなっても、イラン大統領葬儀ほどの規模で国民が集まることは絶対にないだろう。 また、人口が9千万人の国で、数百万人を政治的圧力やインセンティブで動員するのは不可能だ。
だから、故大統領が不人気だったと喧伝するのは、かなり悪質なプロパガンダだ、と断言できる。
話は変わるが、不謹慎かもしれないが、極音速ミサイルを開発装備したイランが、重要な政治リーダーを乗せる安全なヘリコプターを持ち得ていないことにびっくりした。 そう言えば、自国開発した国産戦闘機も、米国で1950年代に設計されたF-5に形が似ていていた。 ロシアのプーチン大統領が自国上空を通過したときに護衛についたのは、米国製F-14だった。
恐らく開発資源を、ミサイルとドローンに集中したのだ。 現在のイランの安全保障的視点では、航続距離の長い戦闘機や攻撃機よりも、ミサイル、ドローンの方が有用かつ効率的だからだろう。 今や、米軍も直接戦闘を避けたいと考えているのは明らかなので、その選択は間違ってはいなかった。
しかし、やはり1970年代設計の米国製ヘリに政治トップを乗せて墜落しちゃうのはまずいだろ。 どうして、ロシアや中国からヘリを購入していないのだろう?
国際政治には、いつも不可思議なことがある。 そして、どの国の政策判断にも誤謬がある。 たぶん、それは人間の集団だからだろう。