ロシアと中国は石油・ガス取引の拡大に関心-プーチン氏 

Bloomberg News 

2024年5月17日 23:18 JST

 

ロシアと中国は、両国の石油・ガス取引を増やすことに関心を持っていると、プーチン大統領が17日、ハルビンで記者団に語った。

 

  国営テレビ局ロシア24が報じたところによると、プーチン氏は中国訪問が終わりに差し掛かる頃、「そのようなプロジェクトの実施に双方の関心があることが確認された」と発言。「中ロの国境線は長く、何にも妨害されない。タンカーへの制裁だろうが、金融機関への制裁だろうがだ。ルーブルと人民元で、全てを売買できる」と続けた。

 

  ロシアは以前、主に西側諸国を相手にエネルギーを輸出していたが、プーチン氏のウクライナ侵攻で両者の関係は冷戦時代以降最悪に冷え込んだ。これによりロシアは、石油やガスの販売でアジアの新興国に対する依存を強めている。ロシア産の石油と天然ガスを現在主に買っているのは、世界最大のエネルギー輸入国である中国だ。

 

  ロシアはパイプライン「シベリアの力」を通じて中国にガスを供給しているが、2027年まで同じルートを通る第2パイプラインを建設する計画。さらに中ロは、モンゴルを通る別ルートの第3パイプライン「シベリアの力2」の建設につながる新たなガス契約についても数年にわたって交渉を続けている。この3つのパイプラインが計画通り稼働すれば、ロシアが中国に供給するガスは年間1000億立方メートル近くにも達する。

 

  今のところガス価格が主な障害となり、第3パイプラインを巡る交渉は決着していない。

 

  シベリアの力2の交渉は続いているとプーチン氏は述べ、これと並行して走る別の石油パイプラインを建設する可能性もあると明らかにした。同氏が新たな石油パイプラインの可能性に言及したのは初めて。

 

原題:Russia, China Interested in Expanding Oil, Gas Trade, Putin Says(抜

粋)

 

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プーチンが言及した「シベリアの力2」が、中国の言う「力量2号」。

 

Map 6parknews.com

 

 

ロシア産ガスの行き先は下記。

 

 

 

暖冬だったためにガス価格が下落しているので、先行きの価格の交渉の折り合いをつけるのに時間がかかっている。 プーチンにとって、唯一の誤算が暖冬と、その影響だった。

 

ロシア産ガスの圧倒的な価格競争力と、LNG化しなくて済むメリットを考えれば、新たなパイプラインの建設合意に達して着工が始まるのは時間の問題だろう。 そうなると、ロシア産ガスの欧州輸出依存度は、さらに下がる。 

 

そして、一部のピンボケのメディアが報じているような、苦し紛れの両国の同盟という内容とは、全然異なる強固なパートナーシップが築かれた。

 

 

中ロ首脳会談、対米で結束 包括的戦略パートナー深化へ共同声明 

By Bernard Orr、 Guy Faulconbridge 

2024年5月17日午前 5:29 GMT+9

 

[北京 /モスクワ 16日 ロイター] - 中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領は16日、北京で会談し、両国への圧力を強める米国を非難し、防衛・軍事関係をさらに深化させる「新時代」を築くことで合意した。

 

習氏は、中国はロシアの良き隣人、友人、相互信頼のパートナーであり続けると表明。現在の中ロ関係は容易に実現したものではなく、双方が大切にすべきだと述べた。

 

5期目の大統領就任後、初の外遊となったプーチン氏は、「われわれは国際法に基づく、多極化した現実を反映した、正義と民主的な世界秩序の原則を守っている」と述べ、中ロの協力関係は特定の国に対するものではなく、世界を安定させる要素だとの認識を示した。

 

両首脳は包括的戦略パートナーシップを深化させる共同声明に署名した。声明は、戦略核のバランスを侵害する米国の取り組み、ロシアと中国を脅かす世界的なミサイル防衛計画、精度の高い非核兵器計画に懸念を示した。中ロの防衛分野での協力が、地域およびグローバルな安全保障の強化に寄与するとした。米欧が凍結したロシア資産から得られる利子をウクライナ支援に活用する動きを念頭に、外国政府による資産押収を非難した。

 

ウクライナについては、プーチン氏が、危機打開に向けた中国の取り組みに謝意を示した。習氏は、政治的解決が「正しい方向」との認識で一致したと述べた。

 

新華社によると、習氏は、ロシアとウクライナ共同主催による国際平和会議を適切な時期に開催し、全ての選択肢に関する公正な議論を行うことを支持すると述べた。

両首脳はさらに、今回の合意を実行し、両国の関係の発展を正しい方向に導くため、緊密なコミュニケーションを維持する用意があるという見解で一致した。

 

両首脳は両国の国交樹立75周年を祝う式典に参加する。プーチン氏は17日に東北部のハルビンも訪れる予定。

 

ロシア側は、ベロウソフ新国防相、ラブロフ外相、財界トップらが同行。ロシア国営天然ガス独占企業ガスプロムのアレクセイ・ミレル最高経営責任者(CEO)は、イラン指導部との会談のため、同行しなかった。

 

米国務省のパテル副報道官は、中国が欧州諸国などと良好かつ堅固な関係を築きたい望みながら、欧州の安全保障に対する脅威をあおることはできないとし、ロシアとの関係強化による「一挙両得」は不可能という認識を示した。さらにロシアの防衛産業基盤の再構築に向けた中国の支援は「非常に問題がある」と述べた。

 

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米国は、インド・イラン港湾協定が結ばれた先日も、「制裁するぞ!」と脅していたが、コメントを出していたのは国務省副報道官のパテルという小物だった。 そして今回の中露の共同声明に対しても、彼が会見をした。

 

そもそも、プーチンの訪中前に、中露接近に対する警戒とけん制のために訪中していたのは、国務省トップのブリンケン長官だった。 結局は、全く効果がなかったことを世界に知らしめた。 米国の威嚇を、中国、インド、イランは完全に無視した。 想像するに、ホワイトハウス、米国務省の挫折感は、かなりのものだろう。 そりゃ、子分のさらにまた子分に「お前が適当にコメントしておけ」となるのも無理はないのではないか。 第2次大戦以降、今ほど米国の威嚇が無視されたことはなかっただろう。

 

国内報道を全く信用しない方が良い。データを示さずして、情緒的な文章だけで否定的な見解を示している連中は、バカか詐欺師だ。

 

世界が、どれほどロシアに依存しているかを改めて認識すべきだ。

 

ロシア産原油輸出先

 

これでは、中国とインドが、ロシアから距離を置くことなど、あり得ないことは明白だ。 この両国は、混合石油や精製化して、第3国への転売もして儲けている。

 

 

ロシア石油精製品輸出先

 

凄いよね。 中東諸国ですらロシアから買っている。 シンガポールの分なんて、ほとんどの部分が、他国へ転売されているに決まっているじゃん。 たぶん、欧州が多いだろう。 制裁逃れさ。 アフリカ、ブラジルは、今後伸びるだろう。 

 

 

ロシア石炭輸出先

 

ハイ、中国はロシア産石炭なしにはやっていけません。 何気に韓国が安価な石炭を享受しているなあ。 アジア諸国はロシア様様だ。 きっちり日本も入っている。

 

バカでもわかるように言えば、今回の中露包括的戦略パートナーシップ深化は、世界最大の資源国と世界最大の工業生産国が、より強固な同盟関係になった、ということだ。 そして両国とも軍事大国である。 

 

 

 

 

こうさせたのは、政治家と官僚の劣化(頭が悪い)著しい米国自身だ。 何度も言ってきたが、最大の仮想敵国が中国ならば、米国はロシアにちょっかいを出すべきではなかった。 愚劣な仕掛けをウクライナで行ったのは、後年、痛恨の戦略上の愚挙として歴史に刻まれるだろう。 ロシアの過少評価が、米国の凋落に拍車をかけることになった。