By Trevor Hunnicutt、 Jeff Mason
[ワシントン 14日 ロイター] - バイデン米大統領は14日、電気自動車(EV)、半導体、医療用製品など中国からの輸入品に対する関税を大幅に引き上げると発表した。
11月の大統領選を控え、米中対立のリスクを冒して有権者の支持拡大を図る。
バイデン大統領は「米国の労働者は競争が公正である限り、誰よりも働き、(競争相手などを)打ち負かすことができるが、あまりにも長期にわたり公正ではなかった」と述べた。
中国商務省は14日、米国の対中関税引き上げを受け、強い不満を示し自国の権利と利益を守るために断固とした措置を取ると表明した。
また、バイデン大統領はヤフーニュースのインタビューで、中国が対抗措置を講じる公算が大きいものの、「国際紛争などにつながるとは思わない」と語った。同時に、中国が「無関係の製品に対する関税を引き上げる方策を見い出そうとする可能性がある」という認識を示した。
米国は1974年通商法301条に基づき、今年、EVの関税を25%から100%に、リチウムイオンEV電池・その他電池部品の関税を7.5%から25%に、ソーラーパネル用太陽電池の関税を25%から50%に引き上げる。「一部の」重要鉱物についても関税をゼロから25%に引き上げる。
[ワシントン 13日 ロイター] - ホワイトハウスによると、バイデン米大統領は13日、ウクライナに侵攻するロシアへの制裁強化のため、ロシアからの濃縮ウラン輸入を禁止する法案に署名し、同法が成立した。濃縮ウランは原子力発電所の燃料に使用される。
約90日後に輸入を禁止するが、国内の原子炉への供給に懸念がある場合は2027年いっぱい猶予を認める。
米国内のウラン燃料産業の振興に約27億ドルを投じることも盛り込まれた。
ロシアは濃縮ウランの世界最大の供給国で、米国の原子力発電所で使用される濃縮ウランの約24%はロシア産。
サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は「民生用原子力発電におけるロシアへの依存を減らし、最終的にはなくすことで、わが国のエネルギーと経済の安全保障を強化する」と述べた。
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米国の貿易統計と予想を見ると、今回の対中国関税引き上げは足元の短期間は、米国経済に与える悪影響は軽微だ。 大統領選前にインフレが加速することを避けたいと考えていることがわかる。 トランプの対中強硬姿勢に対して、「俺だって負けてないぞ!」というポーズでしょ。
ロシア産ウランの禁輸も同じ。 そもそもあれだけ対露経済制裁を発動し、他国にも強要していたくせに、ウランに対しては手付かずだった。 当たり前だ。 禁輸にして他国産の高いウランに切り替えたら、原発の発電コストが大幅に上昇する。
今回も、実質的には27年末までの猶予期間がある。 ポーズだけの「なんちゃって制裁」であることは見え見えだ。
しかし、中国、ロシアとも、反発するだろうことは明らかで、問題はそれがどんな形になるか?
米国は、「『なんちゃって制裁』だから、マジで怒らないでね」と言うようなメッセージを出しているようだが、どんな反応が出るかは予測不能。
ウラン輸出元のロシア国営企業ロスアトムは、「契約期間内は、契約を忠実に履行する」との声明を出している。
先日、「出ていけ!」と言われ、米軍撤退が決まったニジェールはウランを豊富に持っている。 そもそもウランが欲しくて、グズグズ居座っていたのだろうが、追い出されるようなので、今度は下手に出てウランを暴利をむさぼらないで売ってくれるように頼むしかないですな。
あ、そう言えば、あの国もロシアと緊密なんだっけ (^_-)
結局、バイデンでもトランプでも、米国が保護主義政策に突っ走ることは確実なようだ。 インフレの鎮静化は困難でしょ。
Photo The New Yorker