ざっと見て、案の定、国内報道ではズレまくっているのが多いので、海外報道を転用する。

 

 

US House passed $26.4bn to fund Israeli genocide, $61bn to Ukraine war 

By Al Mayadeen English 

Source: Agencies 

Today 22:17

 

米下院、イスラエルのジェノサイドに264億ドル、ウクライナ戦争に610億ドルの予算を可決

 

以下翻訳 by Kotaroe

 

ガザでのジェノサイドが続く中、米下院はイスラエル占領への軍事資金提供を含む法案を次々と可決した。

米下院は土曜日、950億ドルの対外戦争・軍事資金、国内でのTikTokの禁止の可能性、凍結されたロシアのソブリン資産の押収、イランへの新たな制裁を含む一連の重要な政策法案を可決した。

イスラエル追加安全保障法案は366対58の圧倒的多数で承認された。

この法案には、ガザでのジェノサイドが7カ月の節目に近づく中、
国連救済事業機関UNRWAへの資金送金の禁止が含まれている。

この資金パッケージでは、占領組織に264億ドル、
ミサイル防衛システムのアイアンドームとデビッドスリングに40億ドル、防衛システムのアイアンビームに12億ドルが割り当てられている。また、「イスラエル」に対する軍事物資・役務の補給に44億ドル「対外軍事資金供与計画」を通じた先端兵器システムなどの調達に35億ドルが充てられている。

さらに、危機に直面している人々に対する緊急食料、シェルター、基本的サービスを含む92億ドルの公的支援が含まれている。また、
他国に保有されている米国の備蓄品から「イスラエル」に軍用ハードウェアを移転する際の柔軟性も増している。

 

中国、ロシア、イラン
「力による21世紀平和法」は、超党派の賛成360票、反対58票で可決された。

イラン産原油の受け入れや加工を行う港湾や製油所、イランのミサイル・無人機プログラムに関連する機器の供給や販売に関与するすべての組織に対する制裁に加え、米国製の製品や技術のイランへの輸出をさらに制限する。

さらに、
現在米国に保有しているロシアの凍結資産を差し押さえ、キエフに移転する権限を行政府に与える。

TikTokの親会社である中国の字節跳動 (バイトダンス、ByteDance) は、9カ月以内にTikTokを売却しなければ、米国のアプリストアから締め出される、とされた。

インド太平洋地域
下院はまた、インド太平洋安全保障追加法案を385対34の圧倒的多数で可決し、民主党のラシダ・トライブ議員が1票を投じた。

この法案では、
インド太平洋地域における中国の行動に対抗するために81億ドル、潜水艦のインフラ整備に33億ドルが割り当てられている。また、台湾やその他の地域の主要パートナーに対する20億ドルの海外軍事支援のほか、台湾や同地域の同盟国に対する19億ドルの軍事装備およびサービスの更新も含まれている。

ウクライナ
数カ月にわたる政治的行き詰まりの後、下院はウクライナ安全保障追加歳出法を311対112で可決した。共和党のダン・ミューザー下院議員は棄権した。

総額950億ドルの包括支援パッケージには、
ウクライナとその他の米国の地域同盟国に対する610億ドルの大規模な軍事支援が含まれている。このうち約230億ドルは、米国の武器、物資、施設の補充に充てられている。さらに、この地域で進行中の米軍の作戦を支援するために110億ドル以上が指定されている。

支援パッケージの大部分である
約140億ドルは、ウクライナによる最新兵器システムやその他の防衛装備の取得を支援するために割り当てられている。

 

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脳に障害を抱えているか、痴呆が進行しているとしか思えない人々は、これでウクライナの戦況が変わると思っているらしい。 また、中東の反米・イスラエル武装組織との戦闘にも、イランの牽制にも有効だと思っているようだ。 この支援のせいで、パレスチナ人の虐殺がさらに進行することも、何とも思っていないかもしれない。

 

結論から言ってしまうと、こんなものでウクライナの戦況は変わらない。 ウクライナへの軍事支援は140億ドルだが、焼け石に水だろう。 考えてみればいい。 先般のイランの一晩のドローン・ミサイル攻撃からイスラエルを守るのに使われた、米英イスラエル連合軍の対空ミサイルの総コストが11億ドル。 仮に140億ドルすべてをウクライナの対空ミサイルに費やし、かつそれを米国が直ちに供給できたとしても、同規模のロシア軍の空襲に12回しか使えない。 

 

実際は、中身は歩兵装備、軍用車両、装甲車両、砲弾、ミサイルと多岐に渡ることになる。 そして、何よりも問題は、砲弾、ミサイルの供給にどれほど時間がかかるかだ。

 

議会が、突然法案可決の動きを早めたのは、ウクライナとイスラエルに米軍在庫から先出しで廻した分の補充を米軍に行わないと、米軍自身の行動に支障が出ることが大きな理由だと、個人的には推察している。 それが上記にある米軍用の230億ドルだ。 

 

ロシアの砲弾とミサイルの国内生産量は、米国の3倍。 さらに砲弾は北朝鮮も供給しているようだし、ミサイルはイランも供給している。 つまり、ロシア軍の攻撃に応対できる数量を、ウクライナに供給できるわけがないのだ。 武器弾薬の彼我の生産量の差は、米国メディアでも報じられているから、政権も議会も、本当は今回の追加支援に効果がないことはわかっているはずだ。 つまり、ある種のポーズに過ぎない。

 

それは、イスラエルの防空にも当てはまる。 40億ドルの防空ミサイルを、仮にすぐ入手出来ても、それは、先般のイラン攻撃応対と同規模の防衛戦4回分に満たない。 イランは、先般の規模の攻撃を10回連続で行っても、全然在庫の心配をしないで済む数量のミサイル、ドローンを保有しており、生産も継続している。 この程度の支援が、対イランの抑止力になるわけがない。 

 

中国の行動に対抗するための81億ドルだって、そんなはした金で中国封じができるわけねーだろ! まあ、艦隊運用費なんだろうな。 台湾海峡に進出して、中国の地対艦ミサイルの嵐に会えば、水中艦隊と化す空母打撃群のね。 たぶん、中国は派手には動かないと思うよ、刺激さえしなければ。 

 

イスラエルへの軍事支援44億ドルは、非武装のパレスチナ人市民の虐殺継続には大いに貢献するだろう。 ガザのハマスとの戦闘にも貢献する。 でも、ヒズボラ相手には焼け石に水。 

 

どう考えても、最優先は自軍の在庫補充、2にイスラエル支援、3に、ポーズでウクライナ支援、という優先順位だろう。

 

もっとも気になるのが、凍結されたロシアの資産の押収。 自国と戦争状態にあるわけでもない(米国自身がそう言っている)国の資産を、押収して勝手に使うという行為は、世界の金融市場を混乱に陥れる。 間違いなく、ロシアは報復で同様の行為に出て、押収合戦に発展する。 

 

さらに、ロシア資産凍結に止まらずに押収に発展すれば、米国は気に入らない相手なら資産の横取りを平気で行うことを世界に見せつけることになり、対米投資が危険極まりない、と判断する国々は、米国内の資産を引き上げるだろう。 

 

ロシア資産凍結決定後、完全に下落トレンドに突入している米国債を、各国がますます買わなくなるでしょ。

 

 

米長期国債ETF長期

 

 

そもそも、債務の利払い額が軍事費を超えている国が、赤字国債を財源に軍事費の調達をする行為を、異常だと思わない米国政権と議会の頭の中は、かなり異常ではないか?

 

たぶん「米国は特別な存在で、とにかく大丈夫なんだ!」という信仰があるのだろう。 でも、合理的な根拠が一つもない。

 

じっくり米国債市場の動きを見ていれば、世界が米国をどう見ているかの結論が出るだろう、と思っている。

 

今回のパッケージ法案可決に反感を持つ国々は、地域で言えば、アフリカ、中東、南アジア、中南米の大半、そして当のロシア、中国、イラン。 世界人口の1/4を占めるイスラム教徒が苦々しく思うだろうことも忘れてはいけない。

 

しかし、我が国のあの歴史的低能国賊首相は、ズレっぱなしだ。

 

自称保守痴呆性老人達が愛読するというあのSK新聞は、記事の最後を、こう締めくくっていた。

 

20日の討論では共和、民主両党の複数議員が、「米国の指導力は必要不可欠」との岸田文雄首相の米議会演説を引用して予算案への支持を訴えた。「自由世界のために立つ」米国の信任は崩壊寸前で保たれた。

 

 

ハイ、ひどい誤解をしていると思います。 米国の信任は、これからどんどん崩壊していくのだと思います。 それにしても、あのバカは桁外れですね  (^_^メ)

 

ちなみにこの法案通過で、幾つかのネオコン株は、最後の上げを見せるのではないかと期待している。

 

例えば・・・ 

 

RTX(旧レイセオン)長期

 

きっと、これらの武器メーカの毒饅頭をたらふく食らっている議員は、もろ手をあげて法案に賛成したはずだ。 

 

最後のひと上げがあれば、絶好のショートの機会だと思って見ている。 だって、今回の法案が最後の美味しい法案で、もう今後は無理でしょ (^^;)(独断と偏見)


そしてイランへの経済制裁。 全然意味ないと思います。 だって制裁慣れしてるもの。 そして忘れてはならないのは、ロシア同様に、イランは財政超優良国家であること。

 

国家債務のGDP比は約30%。 世界でも屈指の財政優良国。 

 

 

 

借金漬けの米国、欧州、日本が制裁を加えて追い込むことができる相手ではない。

 

それに、制裁で禁輸製品が決まった瞬間に、それがビジネス・チャンスだと考えて、制裁を回避して持ち込んで儲けようとする向きが、必ず出現する。 それが現実の国際社会だ。 そして、中国、ロシアがガッチリとサポートする。 たぶん、インドも米国の言うことなんか聞かないで、取引するでしょうな。 

 

参照

Iran oil exports hit 6-year high as west prepares sanctions 

Surge in crude sales to China exposes limits of US and EU attempts to rein in Islamic republic 

Finantial Times   APRIL 18 2024

西側諸国が制裁準備をする中、イラン産原油輸出が6年ぶり高水準
中国への原油輸出急増、イスラム共和国を抑制する米国とEUの試みの限界を露呈

 

 

最後に指摘しておくことは、米国の老朽化が進む社会インフラへの投資、不法移民流入野放し状態の国境警備は、今回も手付かずだったことだ。 米国は、ぶっ壊れていくでしょうね。