ボーイングの信頼巡る危機、航空会社の成長計画も狂わす-採用凍結も Bloomberg 

Mary Schlangenstein、Ryan Beene 

2024年3月13日 3:10 JST

 

抜粋

 

  • ユナイテッド航空、ボーイングに「MAX10」製造中止を指示

  • サウスウエスト航空、ボーイング問題の影響で人員採用を凍結

米ボーイングの信頼性を巡る危機は、同社製の機体を購入する航空会社にも波及しつつある。

 

  ユナイテッド・エアラインズ・ホールディングスやサウスウエスト航空、デルタ航空、アラスカ航空などが集まった12日の業界会合では、ボーイングの問題が各社のビジネスにどう影響を及ぼしているかについての話が多く聞かれた。最も顕著だったのは、ボーイングの生産が滞っていることで、航空会社が以前から運航を計画していた機体が不足していることだ。

 

  問題は今年だけにとどまらない。JPモルガン・チェース主催の投資家会合でユナイテッドのスコット・カービー最高経営責任者(CEO)は、ボーイングに「737MAX10」の製造を中止するようと伝えたと明らかにした。当局からの認証スケジュール極めて不透明であることを理由に挙げている。

 

ボーイングの「MAX-10」、ユナイテッド航空が製造中止を指示

  サウスウエスト航空は、「737MAX7」を今年受け取る見込みはなく、他のボーイング機の納入台数もわずか46機にとどまるとの見通しを示した。従来予想は79機だった。航空機納入の減少に対応するため、サウスウエストは今年の運航能力を削減するほか、ほとんどの人員採用を中止し、支出計画を見直す方針だ。

 

サウスウエスト株下落、ボーイング問題の影響で人員採用を凍結

 

  1月5日にボーイング機でのドアプラグ吹き飛び事故が起きたアラスカ航空はこの日、機体納入に関する不確実性のため、今年の運航能力見通しは依然として「流動的」だと述べた。

 

  米国以外の航空会社にも影響は及んでいる。アイルランドの格安航空会社ライアンエアー・ホールディングスは今月1日、年間旅客数の予想を従来の2億500万人から2億人弱に引き下げた。ボーイングからの機体納入が当初予定の57機ではなく、40機にとどまるというのが理由。

 

  航空業界のトップらはボーイングに対し、深刻化する問題に早急に対処するよう求めている。

 

原題:Boeing Crisis Derails Airlines’ Growth Plans as Output Stalls(抜粋)

 

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Photo RT

 

 

ボーイングの直近の事故をざっと挙げると


1月、アラスカ航空のボーイング737 MAX 9型機が、空中でドアパネルが吹き飛び、機体に大きな穴が開いた後、ポートランドに緊急着陸した。
 

3月4日、ボーイング737型機が離陸直後にエンジン火災によりテキサス州ヒューストンに緊急着陸した。ユナイテッド航空によると、出発前に飛行場にあったプラスチック製の気泡緩衝材がエンジンに吸い込まれた.


3月6日水曜日、オレゴン州ポートランドでは、ボーイング737-800型機が機内の排気ガスのため緊急着陸を余儀なくされた。

3月7日木曜日、サンフランシスコを離陸したボーイング777-200型機からタイヤが脱落し、車が大破した。飛行機は日本行きだったが、目的地を変更してロサンゼルスに無事着陸した。


3月8日金曜日、ボーイング737 MAXがヒューストンで滑走路から転落し、草むらにはまって立ち往生した。


3月11日月曜日、チリのLATAM航空ボーイング787ドリームライナーがオーストラリア発ニュージーランド行きの便内で突然降下し、50人が負傷した。
 

 

深刻な問題が顕著になったのは、2018年からだ。

2018年10月にインドネシアでボーイング737MAXの墜落事故があり189人が死亡し、その5か月後にはエチオピアでも墜落事故があり157人が死亡したため、同ジェット機はほぼ2年間世界中で運航を停止していた。


墜落の原因は自動飛行制御ソフトウェアの欠陥で、誤って作動したことが判明した。ソフトウェアが改良され、ボーイング 737 は改良され、再び飛行できるようになった。

 

しかし、その後も問題発生が継続し、止むことがない。

 

問題の原因は、設計、製造管理、品質管理、企業体質そのものと多岐にわたる。

 

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2 Mar, 2024 19:13 Multiple ‘non-compliance issues’ exposed in Boeing safety audit – NYT 

Mechanics used dish soap and hotel key cards as makeshift tools, a US regulatory review has reportedly found

 

ボーイングの安全監査で複数の 「不適合問題」 が発覚 - NYタイムズ
整備士が食器用洗剤やホテルのキーカードを間に合わせの道具として使用していたことが、米国の規制当局の調査で判明したと報じられている。

 

以下抜粋翻訳 by Kotaroe


今年初めの航空会社の空中ドア爆発事故を受けて発注されたボーイング社の737 MAX 9製造プロセスに関する米国の安全監査では、食器用洗剤やホテルのキーカードをその場しのぎの道具として使用するなど、品質管理の欠陥が多数見つかった。

ニューヨーク・タイムズは火曜日、米連邦航空局 (FAA) がボーイング社の97の 「不適合」 問題を特定し、89件の製品監査のうち33件で同社を不合格にしたと報じた。FAAのマイケル・ウィテカー長官は声明で、ボーイングはジェット機の安全性を確保するための改革を行う必要があると述べた。

ウィテカーは「ボーイングは、これでは通常の業務には戻れないだろう」 と述べた。「彼らは、本当の意味での大幅な改善にコミットしなければならない。」 

 

FAAは、ボーイングのサプライヤーであるスピリット・エアロシステムズが製造した機体の監査も実施し、13件中7件で安全上の欠陥を発見したと伝えられている。捜査官らは、スピリットの整備士が「取り付け作業の潤滑剤として」ドアのシールに食器用洗剤を塗っているのを目撃した、と報じられた。作業員らはカードキーを使ってドアの密閉性を確認し、濡れたガーゼで食器用洗剤を拭き取った。

 

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そして、暗黒企業に相応しいニュースが飛び込んできた。

 

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米ボーイングの内部告発者、遺体で発見 安全性問題巡り係争中 ロイター編集 

2024年3月13日午前 9:07 GMT+9

 

[12日 ロイター] - 米航空大手ボーイングの製造安全基準について内部告発したとされる元従業員のジョン・バーネット氏(62)が遺体で発見されたと、サウスカロライナ州当局が明らかにした。自殺とみられるという。

 

チャールストン郡検視局は12日、バーネット氏が銃で自らを撃ったとみられると明かし、警察が捜査していると述べた。

 

弁護士は、バーネット氏がボーイングの品質管理を担当し「787ドリームライナーの極めて深刻な安全問題を明らかにし、報復を受けて敵対的な職場環境に置かれた」と指摘。

 

また、内部告発を巡るボーイングとの訴訟のさなかだったとし「彼が自ら命を絶つような兆候は全く見られなかった。信じられない」と述べた。

 

バーネット氏は、今年1月にボーイング737MAX9の一部側壁が吹き飛び緊急着陸した事故後もメディアの取材に応じていた。

 

ボーイングは声明で「バーネット氏の死を悲しんでいる」などと述べた。

 

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やだなあ。 ボーイングは世界の空を飛びまくっている。 

 

結局、米国は異常な金融緩和でバブル景気を作り出したが、その中で、企業は拡大した利益から多額の自社株買いにまい進し、株価を押し上げてストックオプションで儲けるメカニズムの中でヤク中状態になり、肝心の開発・設備投資、人材育成を怠ってきた企業が多い。モラルも低下している。

 

ボーイングは氷山の一角だ。 今後、こういうのボコボコ発覚してくると思うぞ。

 

巨大な帝国が崩壊する過程の序幕に過ぎない。