FRBは拙速な利下げに伴う危険性を懸念-パウエル議長がTV出演 

Craig Torres 

更新日時 2024年2月5日 13:20 JST

 

抜粋

  • 3月利下げの公算は小さい-CBS「60ミニッツ」インタビュー

  • 当局者の24年政策金利見通し「劇的な」変更はないとの認識表明

パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は4日夜(日本時間5日午前)に放送されたCBSニュースの番組「60ミニッツ」で、金融当局として3月以降まで利下げに踏み切るのを待つ公算が大きいと語った。当局が将来的に利下げする場合の論拠について、一般の米国民に説明するものだ。

 

  議長はその中で、インフレ率が2%の物価目標に持続的に鈍化する道筋にあることを確認するため、経済データをさらに目にしたい意向をあらためて表明した。パウエル議長のインタビューは1日に収録。CBSが発言録を公表した。

 

パウエル議長はインフレ抑制に関し、「拙速に行動することの危険性は、仕事がまだ完了しておらず、過去半年間に得られた非常に良い数値がインフレの先行きを巡る本当の指針でないことが後から分かる場合だ」と説明した。

 

  議長は「実際にそうなるとは考えていない」としつつも、「多少の時間をかけて、インフレ率が持続的な形で2%に向けて低下しているとデータで引き続き確認するのが賢明な方法だ」と話した。

 

  さらに、連邦公開市場委員会(FOMC)が3月19、20両日の次回会合までに、インフレの道筋について「そうしたレベルの確信に達する」可能性は小さいと述べた。議長は先月31日のFOMC会合後の記者会見でも同様の発言を行っていた。

 

  番組でパウエル議長にインタビューしたCBSのスコット・ペリー氏はナレーションで、議長が今年半ば前後に最初の利下げを行う可能性を示唆したと語ったが、テレビで放送されなかった部分も含めて、CBSが公表した発言録にはそれを示すものはなかった。

 

  議長はこのほか、金融当局者が2024年の金利見通しを「劇的に」変更するとは見込まれないともコメント。昨年12月に公表された当局者の四半期経済予測中央値では、主要政策金利のフェデラルファンド(FF)金利は24年末時点で4.6%と予想されていた。

 

  「FOMC参加者は2、3人以外は皆、年内利下げで景気抑制的なスタンスの巻き戻しを開始するのが適切だろうと確信している」と議長は述べるとともに、「そのようにするのが基本シナリオであるのは確かだ。全体的な文脈を踏まえ、正しいタイミングを捉えようと努めているところだ」と説明した。

 

国民全般への語りかけ

 

  米金融当局は先月30、31両日に開いたFOMC会合で、政策金利を22年ぶり高水準に据え置くことを決めたばかりで、今回のインタビューは議長にとって国民全般に語りかける機会となる。当局は積極的な利上げキャンペーンの終了を確固たるものとしつつも、急いで利下げに踏み切る態勢にないことを示唆している。

 

  インフレ率は過去数カ月に大幅鈍化したが、パウエル議長は金融当局として利下げ開始の前にさらなるデータを見る必要があると繰り返し強調している。議長は31日の記者会見で1-3月(第1四半期)の利下げの公算は小さいとの認識を示唆した。

 

  米金融当局がインフレ指標として重視する個人消費支出(PCE)総合価格指数は、昨年12月の上昇率が前年同月比2.6%と、22年半ばの7.1%から大幅に鈍化した。これは2%の当局目標を引き続き上回っている一方で、労働市場は力強さを維持している。米労働省が2日に発表した1月の失業率は3.7%と歴史的な低水準にとどまり、非農業部門雇用者数は前月比35万3000人増となった。

 

  今年の政策転換は米金融当局に独特の難題を突きつける。米国民の間では、急速な物価上昇に不満が募って世論調査でのバイデン大統領の支持率の重しとなり、パウエル議長と金融当局は大統領・議会選の年の政治に巻き込まれる形となっている。金融当局が今年利下げを開始すれば、選挙を前に景気てこ入れを図り、民主党を有利にする動きだとして、共和党の批判を浴びる可能性がある。

 

  一方、上院銀行委員会のブラウン委員長やウォーレン上院議員ら民主党議員は先週、パウエル議長にそれぞれ書簡を送り、利下げを呼びかけた。他方、11月の大統領選の共和党候補指名争いでトップに立つトランプ前大統領は2日、FOXビジネス・ネットワークに対し、自分が当選すれば、パウエル議長を再任するつもりはないと語った。トランプ氏は17年にパウエル氏を議長に指名した経緯がある。

 

  議長は政策判断に当たり金融当局として政治や選挙を考慮に入れることはないと強調。過去の発言を繰り返すもので、そうしたことを「われわれは決してせず、これからもしない」とし、「信頼性は極めて貴重だ」語った。

  なお、米金融当局は直近の引き締め局面で、利上げ開始を22年3月まで待った上で、積極的な金利引き上げに動いた。パウエル議長はそれに先立つ21年の物価急上昇について、一時的な供給ボトルネックが原因だとみて判断を誤ったと認めた。

 

  「後から考えれば、もっと早く引き締め策を講じておけば良かった」とし、「21年10-12月(第4四半期)には、インフレは私が述べたような意味で一過性のものでないのは明らかとなった。そしてわれわれは政策を転換し、引き締めを開始した」と話した。

 

  FRB議長が金融政策以外のトピックに関して発言するのはまれだが、このインタビューでは、世界は米国の関与を期待しているとして、孤立主義に反対を表明した。米経済は移民の恩恵を受けているとも指摘した。

 

地政学的リスク

 

  発言録によれば、パウエル議長は金利見通し以外に地政学的リスクや中国経済、連邦債務、商業用不動産セクターのリスクについても言及した。

  • 地政学的リスク:ウクライナと中東では戦争が続いている。アジアには潜在的なトラブルがある。これら全てがリスクだ。米国への影響は現時点で大きくない
  • 中国:米経済・生産システムは中国のものと深い関連はない。中国での出来事が経済や金融システムの大きな混乱につながらない限り、米国への意味合いを見ると、多少は感じるかもしれないが、それほど大きくはない
  • 連邦財政の道筋:それは持続可能ではなく、この点に議論の余地は全くないだろう。持続可能な財政の道筋に回帰する必要性は認識されていると思う。それを実現できる立場にある立法府の人々からもそうした声を聞くようになっており、焦点に戻すべきときだ
  • 商業用不動産:大手銀行のバランスシートを見たところ、対処可能な問題と見受けられる。問題含みのこのような分野に集中的なエクスポージャーを持つ中小規模の地域の銀行が幾つかある。われわれはかねてこれを認識しており、予想される損失を乗り切るためのリソースと計画を彼らが確実に持つよう当局として協力している

原題:Powell Tells ‘60 Minutes’ Fed Is Wary of Cutting Rates Too Soon(抜粋)

 

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彼は、政治家とウォール街に迎合してきて、金利政策判断を決定的に誤った。

 

発言は、言い訳、自信のなさ、見当違い、詭弁に溢れている。

 

地政学的リスクについては、中東で起きていること、すなわちイエメンのフーシ派による紅海閉鎖は、米国の物価にいずれ効いてくる。 介入による軍事費の増大は、赤字国債の増発とインフレを招く。 軍事費を増大して、インフレにならなかった例が、歴史上あるか?

 

中国の出来事は、米国に影響はあるよ。 ないわけないじゃん。どれだけモノを中国から買ってるんじゃ? ばかじゃねーのか? それに、中国はかつてのように米国債を買ってくれなくなったじゃん。

 

地方銀行の危機が表面化したときは、またジャブジャブと流動化供給作戦でパッチワークを施したが、それはインフレに燃料を注ぐことになるので、何度もできることではない。

 

世界は米国の関与を期待している」??? 国連の会議を見ていないのか? 国内外の抗議活動を認識していないのか? 「米経済は移民の恩恵を受けている」? 合法的な移民ならばね。 今、不法移民増大で米国の社会秩序は崩壊にむかっている。

 

挙げればキリがないのだが、やっぱりこいつはどうしようもない。 と言うか、FRB自体が私利私欲の愚者の集合体だ。

 

現在、彼はバイデン政権に迎合する政策にまい進しているが、トランプ政権時は、彼に迎合した。 パウエルの評判が良いのは、シンプルに時の政権とウォール街に迎合することしかして来なかったからだ。

 

バイデン政権は経済指標も操作・改竄していると私は見ているが、操作不可能なものもある。 例えば、長期金利と米国債価格だ。 だから、これらを常に監視している。

 

国際政治の場で威信の低下が激しい米国の国債を、誰が買い続けてくれるのか?


米長期国債ETF

 

  • 週足の基準線を割れば、再度、下値模索をしそうだ。
  • 遅行スパンは、ギリギリのところで実線に貼りついている。

 

ウクライナ、中東、極東での悪あがきを止めて、内政の立て直しに専念し、同時に増税と緊縮財政を断行すれば、米国債下落に歯止めがかかるだろう。 でもバイデンはしない。

 

結局、パウエルは第2のアーサー・バーンズとの評価が、後に下されるのだろうと思っている。