情報BOX:高まる米政府機関閉鎖の可能性、新年度予算巡る与野党の主な争点  ロイターAndy Sullivan 

2023年9月28日午前 9:24 GMT+9

 

抜粋

 

主な争点は以下の通り。

 

◎政府支出で攻防

バイデン大統領と野党共和党のマッカーシー下院議長は5月、債務上限を停止して国債のデフォルト(債務不履行)を回避するための合意の一環として、新年度予算で政府機関による支出額を1兆5900億ドルとすることを決めた。この金額は現行水準にほぼ等しく、インフレのために実質ベースでは目減りすることになる。

 

ただ下院共和党はもっと踏み込んだ削減を要求し、議会が連邦政府の規模圧縮と新型コロナウイルスのパンデミック以降に急増した財政赤字の抑制に向けてもっと努力しなければならないと主張。政府機関による支出額を現行水準から1200億ドル、7.6%減らす法案を推進している。

 

これは総額6兆4000億ドルの予算全体からすれば比較的少額で、共和党は社会保障やメディケア(高齢者・障害者向け公的医療保険)向け予算の削減は提案していない。

 

しかしバイデン氏は、マッカーシー氏は当初の合意を守るべきだと訴えている。ホワイトハウスによると、共和党案にはバイデン氏が拒否権を発動することになるという。

 

◎移民と国境管理問題

下院共和党は、政府機関閉鎖を避けるための予算案には、メキシコとの国境に移民希望者が殺到している現状を踏まえ、新たな入国規制措置を盛り込む必要があるとしている。

 

具体的に提示しているのは(1)トランプ前大統領が目玉政策としていたメキシコとの国境の壁の建設再開(2)亡命申請者の規制(3)国境管理関係の人員増強と報酬引き上げ――などだ。

 

バイデン氏も、国境管理向けの予算拡充は求めている。しかし与党民主党は、共和党案は厳格過ぎると異を唱えている。

 

◎ウクライナ支援

バイデン氏は、ロシアに反撃しているウクライナに対して既に供与した1130億ドルのほかに、240億ドルの追加支援を盛り込むよう議会に要請している。

 

上院で超党派の支持を得た歳出法案には60億ドルの支援が含まれ、事後的により多くの支援を行える余地も残された。

 

ただ下院の一部共和党議員は、ウクライナ向け追加支援を盛り込んだ法案には反対票を投じる姿勢だ。

 

◎災害支援

連邦緊急事態管理庁(FEMA)は、ハリケーンや山火事など自然災害の被災者向け支援予算が間もなく尽きると議会に警告している。

 

上院では60億ドルの災害支援を含む歳出法案が超党派の支持を獲得したものの、これがウクライナ支援とセットになる場合、下院共和党の一部が反対に回る恐れがある。

 

◎中絶や人種などの社会問題対応

下院共和党は、社会問題への対応で保守的な政策を入れた歳出法案を幾つか提案している。(1)薬局での経口中絶薬ミフェプリストンの販売禁止(2)国防総省が職員に対して中絶を合法としている州で手術を受けるための旅費を支給することを禁止(3)国防総省による人種多様性プログラム実施の禁止(4)人種問題に関する学校教育の制限――といった内容だ。

 

◎トランプ氏の影

トランプ氏はこれまで議会共和党に、司法省と連邦捜査局(FBI)向け予算を減らすよう求めてきた。同氏は現在、2020年の大統領選結果を覆そうとしたことや機密文書持ち出しの罪で連邦検察当局から起訴されている。

 

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 マッカーシー どつぼ

Photo Reuters

 

 

パッと見て怪訝に思うのが、上院で可決された暫定案の中で「自然災害の被害者支援」と「ウクライナ追加支援」が同額で、かつセットで扱われていることだ。

 

不幸かつ悲惨な目に合っている米国民の救済と、くれくれ詐欺外道極悪国家の支援を同額にし、優先順位も同じにするという点が極めて異常だ。

 

また、トランプに関して、「同氏は現在、2020年の大統領選結果を覆そうとしたことや機密文書持ち出しので連邦検察当局から起訴されている」と補足説明を加えているが、「容疑」ではなく「罪」と断定している点に、ああやっぱりロイターも民主党寄りのメディアなのだなあ、と痛感する。

 

他国の政治だし、共和党支持の立場でもないが、共和党強硬派と呼ばれている議員の主張の方がまだまともだと思わざるを得ない。

 

上院のマコーネルは、どうもパーキンソン病ではないかと思うのだが、それでも軍産複合体の既得権益への執着は凄い。

 

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米共和党上院トップ、政府閉鎖支持せず-党内の亀裂浮き彫り 

Bloomberg Laura Litvan

2023年9月28日 9:50 JST 

 

抜粋

 

米共和党のマコネル上院院内総務は27日、政府機関閉鎖も辞さないという下院共和党のスタンスから距離を置いていることを示した。マッカーシー下院議長は新会計年度が始まる10月1日からの一時的な予算措置を受け入れないとしており、党内の亀裂が浮き彫りとなっている。

 

上院共和党の非公開会合でマコネル氏は、11月中旬までのつなぎ予算措置を通じ政府機関の閉鎖を回避し、ウクライナに60億ドル(約9000億円)の新たな支援を行うという超党派の上院案を擁護した。この案は下院の保守強硬派から激しい反発を招いている。

 

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納税者の米国民の救済と安全、軍産複合体へのリターンが大きいウクライナ支援、どちらをどれほど優先できるのか?

 

展開の予想などできるはずもないが、米国の政治の転機になるかも・・・ですね。