「帝銀事件」という出来事を知っているだろうか。いまだGHQの占領下にあった昭和23年、帝国銀行椎名町支店、現在の豊島区長崎、現在も西武池袋線で椎名町駅という名が使われているが、突然その銀行の支店に現れた初老の男性が周辺地域で集団赤痢が発生したと称して行員に予防薬を飲ませて12人を毒殺した事件である。

一昨日たまたまYoutubeを開いたら帝銀事件を扱った映像がアップされてきた。


映画会社の松竹が無料で公開している映像で、映画かと思ったらテレビ朝日と共同で製作したテレビドラマらしい。ともかくこれは見なくてはと昨日仕事の合間に観賞した。



じゃーん、知る人ぞ知る田中邦衛である。もう亡くなってしまったんですね。そもそも今どれくらいの人が彼を知っているかわからないけど一般的にはフジテレビの「北の国から」の五郎役といえば通じるのかな。私は「仁義なき戦い」の槙原政吉役のクレージーかつ風見鶏的な策士のキャラクターの印象が強く本作品では古志田警部補役で出演しており、帝銀事件の被疑者として逮捕した平沢貞通に厳しい尋問をかけていたぶる。戦後間もない頃だからまだ特高時代をひきづっている刑事も多かっただろうから実際は映像以上の尋問だったかもしれない。


平沢貞通といえば日本犯罪史の中でも屈指の人物といえる。私は中学時代松本清張氏を通じて帝銀事件を知った。松本清張氏のノンフィクション作品といえば「日本の黒い霧」が有名だがこの作品ではなかった気がするがともかくこの平沢貞通の数奇な運命は中学生だった僕の心を惹きつけた。


本作品では仲谷昇という俳優が平沢役を演じている。なんとも素晴らしい怪演である。仲谷昇はフジテレビの「カノッサの屈辱」の印象しかないのだが平沢の変人ぶりをいかんなく現していたように見えた。


本作品含めこの「帝銀事件」には特筆すべきところがありすぎてとてもではないが全てを書ききれないので今回はまずこの辺りで。ともかく恐れを知らない読者の方はまず本作品を視聴してみてほしい。シリーズ題名もとりあえず仮で。