本年で、勉強を教える立場になって、6年目を迎えたが、例年となんだか雰囲気が違う。大学進学を希望する教え子たちは、推薦入試で早々に合格する子が大半であり、本来ならここから四苦八苦する時期なのだが、なんだか拍子抜けで、自分自身の研究に没頭したい気分である。

まあ、そうはいっても、授業は続き、大学合格した生徒と研究?に取り組んでいるのが、芥川の「河童」。雨月物語といい、どうしても妖怪から離れられないらしく、演劇部の部長(仮)からも、妖怪扱いされる始末。。。

「河童」は、精神病棟に入った患者が、入院前に迷い込んだ河童の世界について語った話を、筆記した病院の職員が語ると言う、手の込んだプロット。まだ冒頭だが、生徒と物語について話をしながら進めているが、生徒もユニークな子で、漁師のパックは、人間を捕まえていたが、河童界の文明開花後は、食べなくなったとか、その場で、さまざまな発想が生まれるのが面白い。河童は、江戸時代には、各地に発見されたという記録も残っており、日本人にとっては、身近な妖怪なはずだが、作品にも出てくるように、カメレオンのように皮膚の色を変える能力を使って、今は世知辛い人の世を避けて、どこかに隠れて、我々を眺めているのかもしれない。