新年早々、手に取った本は、「紫式部日記」であった。道長から無茶振りされても、即座に返歌できる才を持ち合わせ、それがゆえに、他の女房から嫉妬されるのを恐れつつ、出過ぎた真似をしないでおこうとする式部のあり方はなんだかいじらしく思う。出家しようと思えども、世の中の目もやはり気になる。生きづらさからくる虚しさは、どの時代も変わらない。昨年からだらだらと読みつつ、ようやく完読したが、登場人物、作中の和歌や言葉を細かく味わいながら、再読したい。なにより、服装に関わる描写が色彩豊かで。興味深い。敦良親王出生五十日の節では、装束の色合わせがよくなかった、などと言ったファンション批評のような描写もあり、いやいや、社交界は今も昔も、女性の目が厳しいようである。