知人に、岡田英弘なる歴史家がいることを教えていただき、年も押し迫る師走、氏の著書を読み漁る日々、ただいま「世界史の誕生」をほぼ読了。昨年からこの騒ぎの最中、山川出版社の参考書やインターネットを通じて、世界史の学習を進めてきた。それまでやってきた日本史の学習の知識が、世界史を想像する上に役に立つと感じた部分もあるにはあったが、いやいや、氏も指摘する通り、日本史を含めた東洋史と、西洋史の間には大きな差異があり、ここに、日本人が西洋史を理解する困難があるのだ。さらに、東洋史において、氏は、遊牧民がユーラシア大陸を支配してきた歴史について書いており、あのモンゴル帝国が中国はじめ、その後現れた国家に大きな影響を与えている姿を描く。日本人に身近な、隋や唐でさえ、実は、鮮卑という遊牧民族の国家であることは、南北朝時代からの流れを見れば、当たり前なのだが、意識できていなかった。
他にも、突厥、ウイグル、契丹、遊牧民ではないが、ラストエンペラーで有名な清を建国した女真族など、幼き頃、学習漫画で出会った中国の歴史の多彩さは、実に胸躍るものであった。世界史だけでなく、日本史を考える上でも、このユーラシアの歴史の雄大さを意識しなければ、何も語れないのではないか。
今後はモンゴル帝国の世界史における功罪について研究するか、「日本史の誕生」のテーマであった倭国から日本への転換について掘り下げるか、ちょっと悩んでいる。ひとっとびに、遊牧民いっちゃってもいいんだが、こういうことにおいては、割と慎重なタチではある。