春だ。そんな風流なタチではないが、いやでも桜が目にちらつく季節となった。桜は散っているところが好きだねえ。

だからと言うわけではないが、小津安二郎の「早春」を見直した。既婚の男が美貌の女性に浮気してしまう話。池部良、な、何で足が長いんだ。ジェームスディーンかと思ったぞ。岸惠子きれいですなあ。淡島千景、妙に色っぽい。この映画だけでいえば、淡島千景の方がいいな。ま、どうでもいいのだが、この映画、大勢で歌うシーンがやけに多い。小津映画の他の作品でもそうだが、同期会とか、仲間うちで、友情を確かめ合うような歌、昔の思い出にひたる歌、別れを惜しむ歌、場を盛り上げる歌、この映画は1956年の映画だが

昔の人はよく歌ったんだな、と思う。このご時世では、なかなか難しいのだが、日本じゃ古代から歌垣っていって、男女でわいわい歌ったんだな。歌垣文化の復活を密かに期している。それにしても、圧巻は、三井弘次と、加東大介の酔っ払いコンビ。もはやほんとうに飲んでるとしか思えないほどの乱れっぷり。池部良を見事にかき回す。2人ともほんとに好きな役者です。今後もなつかしき昭和映画についておりを見て書いていきたい。