伊豆の石について書こう、と思った時から、あれこれ雑事に振り回されて、2年あまりがたってしまった。ようやく色々と落ち着いてきた今日この頃、以前書いた、伊豆の鹿島踊りに関する研究ノートのような作品と、取材にからんだエッセイをそれぞれ修正し、合わせて、「伊豆3部作(後日まだ増えるかもしれないが)」と題して、少し大々的に発表しようか、と考えはじめて、あわてて、過去書いた創作ノートを見返しながら、構想を練っている。知識の積み重ねのような内容にはしたくないと考えている。あくまで土地にある具体的なエピソードから立ち上げていくことにこだわるし、現地で取材をした自分の身体感覚を大切にしたいと思っている。伊豆の石、といえば、江戸城の石垣として使われたことが有名である。やはり、この話を入れないわけにはやはりいかないだろう。資料も比較的揃えやすそうであるし。そもそも、石に注目したのも、石を切り出すという重労働に関わる人間の身体について興味があるからである。今のように機械がない時代、当然手作業が多かったはずだが、現代の人間には考えられない身体性が、労働を通じて培われたのではないか。そうなると石切りという仕事について調べなくてはいけない。芸能。「歌わなければやってられない」のか、石切り歌というものが各地にみられるようだが、伊豆ではどうか。そして信仰。伊豆のボク石と呼ばれる火山岩は、東京の亀戸神社や住吉大社に運ばれ、庭石として使われていると聞いている。地域の民衆は、石切り場でとった石を、石屋に売ってお金にして、家計を支えたという話もある。
ま、講釈はこのあたりにして、頑張ってみます。