最寄り駅の沿線が、人身事故でダイヤが乱れているという報告が、先に会社に出かけた母からあった。そのため、僕は、別の沿線の駅まで30分ほど歩くことにした。運動不足のからだにはちょうどいいと、意気ごんだはいいものの、歩きはじめると、うだるような熱気がからだを包み、汗がとまらない。Yシャツの下のTシャツ、パンツにまで汗がしみ込み、目に汗が入ってくる。このどうしようもない暑さを、花よ、木々よと周りの風景に目をやりながら忘れようと考えるが、そんなことを考えているうちにも、時間は過ぎていき、ともかく歩くしかない。なんとか目当ての電車の発車時刻ぎりぎりに、駅にかけこみ、ホームで水をがぶ飲みする。なんとおいしかったことか。今日は、この数十分だけで終わりでいいと思った。でもそういうわけにはいかないですね。愛とは、お互いを結びつける何かに、お互いが気付いた時に成立するのだろうか。それを確かめようとすることは何と恐ろしく、しかし、どうしようもなく僕をひきつけるのだろうか。そしてそれが叶わないと、なぜに僕の心は、激しく揺れて、痛み、そして愛の対象である相手に憎しみの心を持つのだろうか。そんな自分のエゴに気付いてしまうと、自分の愛に確信が持てなくなる。さて、もう少し仕事すんべえ。