翻訳学校の説明会のため、久しぶりに、青山に足を運んだ。説明会は一時間強で終了。説明会を聞いて、まずは、需要が大きいと思われる実務翻訳を中心に学習することに決めた。文芸翻訳は、折を見ながら、洋小説の読解など、当面、独学で行っていけばよいと思う。説明会の帰り道、ギャラリー、美術館に寄る。美術については、専門的なことは何一つわからない。が、それが逆にいいのか、ただ作品をじっと見ていることが楽しくて、とにかく飽きることがない。実は、青山のギャラリーについては、今月号の「美術手帖」の特集で、前もって目星はつけていた。が、最初に、翻訳学校から一番近いからと、当初予定していなかった「SPACE KIDS」というギャラリーに寄ってみることにした。民家の中に突如出没するギャラリーで、対面には、今にも崩れ落ちそうな家屋が二軒並んでいる。失礼ながら、思わず大丈夫かよと思いながら、あまり期待せずに入室したが、意外にも好感触。アットホームな雰囲気が、見学者をなごませる。薄い絵の具で描かれた女性の顔。お化けのようなあいまいなタッチだが、はかなく見えて、なんだか愛しくなった。展示されている作品を作った作家さんがいて、話を聞けるのも面白いと思う。このあと、ワタリウム美術館に寄る予定だったが、ふと「シャガールとエコール・ド・パリ コレクション」という展示会を見つけてしまったため、急きょ、青山墓地通りにある青山ユニマット美術館に向かうことに。こういう気まぐれが許されるのも、街を歩くことの魅力。様々な作品が展示されていたので、素人ながらいろいろ言いたいことはあるんですけど、まずはやっぱりシャガール。絵の前で、作品の意味をうーんうーんと考えさせられる。絵の中にいろんな物が登場するせいか、構図が複雑なせいなのか、よくわからないんですけど。その中で「花と恋人たち」という作品になぜかひきつけられました。椅子の上で、仲良く寄り添って眠っている男女。二人の安らかな寝顔が、永遠の愛を想起させる。そしてそれを象徴する沢山のバラ。ただ、このバラの色と背景の色が暗色であることが、死に向かう二人を象徴しているようにも見えて、少し悲しい。エコール・ド・パリコーナーは、はじめてみる絵ばかりで楽しませてもらいました。書いていると尽きないのですが、藤田嗣治の裸婦像の凛とした表情、キスリングの作品に見られる鮮やかな色使い、ローランサンの「チューリップと女性」に描かれる女性の神々しいまでの美しさ。キース・ヴァン・ドンゲンの描く、当時のパリ社交界の女性の華麗さ。今にも絵の中に吸い込まれそうになるユトリロの風景画。あー、僕は、ピカソはだめみたいですね。実験的な作品が多いのでしょうが、どうしても意味が理解できない。芸術というより科学?頭の使い方が違うのか?エコール・ド・パリ時代の作品は、作家の特徴がわかりやすいので、何度も鑑賞しているうちに、作品を見ただけで、誰が描いたかわかったりして面白いかもしれませんね。結局、青山ユニマット美術館での鑑賞で時間を費やしてしまい、目を付けていた現代美術系のギャラリーを、2、3件しかまわれませんでした。しかもあんまり感じるものがなく、残念。結構「有名」な作家さんなんですけどね。青山は、「SPACE KIDS」は、無名の若い作家の作品が多く展示されているようです。今度は浮気せず、小さいギャラリーをしらみつぶすことにします。