休日の合間を縫って、六本木の新国際美術館に行って来た。人だかりのある美術館を見たのは初めての経験で少しびっくりした。ずいぶん各所で宣伝されていたようだし、オープンからまだ1週間ということもあるだろうが、この事実を、アートへの関心の高さと素直には受けとめられなかった。今後、東京の一観光地ではなく、アートの発信地として、どんな特徴を示していくかが非常に興味深い。といっている私も今回はなんとなく出かけた一人ですが。文化庁メディア芸術祭企画の「日本の表現力」の鑑賞が目的だったが、同じ目的の人が多かったのか、かなり混雑しており、十分な鑑賞はできなかった。それでも人体や体内を模した作品などを見ると、人間の持つ生命力の偉大さに改めて気づかされ、そんな時、ふと自分自身を見つめると、ふつふつと力が沸きあがるような、なおかつ安らかな気持ちにもなれるのだった。 「黒川紀章展」にも足を運んでみた。以前黒川氏の著書に目を通したことがある。それをきっかけに、都市開発、建築に対する興味が芽生えつつはあった。とはいえ、特に生活の中で関わりがあるわけでもなく、深く掘り下げることもなかったため、正直、建築については全くの素人である。だが、素人だからかもしれないが、小さな建物の模型を、自分の目で観察していることで単純に無邪気になれるのである。小さい頃にも、同じような感覚を受けた気がする。今は何も思い出せないが。オブジェクトの形やつながりの意味を、展示場の文章から読み取るだけでなく、自分で想像してみる。そうすることで、建築家と向き合うことが出来る気がした。オブジェクトが織り成す規則性は、音楽にも通じる気がしている。またしばらくしたらもう一度訪れたい気にさせられる展示会だった。