街を歩こう。できれば人の少ない、普段行かないところへ。岡本太郎も寺山修二も言っていた気がする。あなた方の言葉をお借りしないと私の話が進まないのでとお詫びして先に進むことにする。できれば何の目的もなく、気楽に歩くのがよい。その方が、街が優しく包み込んでくれて、いい出会いがあると思う。空間を五感を協調させることで、世界を超越する。大げさな表現だが、うまく言葉に表すことができないということにしておいていただきたい。カメラや画用紙を持ち歩くのは悪くないと思う。瞬間にして、心から惹かれたものには、きっと「自分」があるのだと信じていいと思う。気になる店を見つけたときも同様だ。時間があるなら立ち寄って、お店を眺め、人がいるなら会話をしてみてもいい。それが忘れえないものなら、その街を再度訪れる契機となるからである。新たな「自分」と街で遭遇することほど、繁華街は人間に神経が行き過ぎるのであまりよくない。また、ブティック、遊技場、飲食店、歓楽場ばかりで味気ない。僕は、繁華街を歩くのは、歩かされている気がして昔からあまり好きでない。ただ、人間を感じる場としては、ある意味で繁華街は最適である。