所用のため訪れた都内の街で、いくつかの発見があった。突然だが、発見とは頭の中で思想している物事を引き寄せる「念力」だと思う。何も特別な能力だと思わないが、「念力」といってしまった自分に少し寒々しく思う。その発見のひとつが、フランス語の語学学校だ。大通りから少し外れた脇道を入り、ややきつい坂を1分少々上っていった所に、それはあった。たまたまこの期間はお休みで、programmeについて伺うことはできなかったが、何よりも目についたのは、この施設のたたずまい。見た目は、田舎の小学校のような素朴な校舎で、都内にある語学学校とは思えない。この素朴さが本当のフランスの姿かもしれないと僕は思った。学習施設の他に、フレンチレストランとフランス語図書の専門店もある。僕はここにしばらくいたいという思いを引きずりながらも、再びここに来るだろうと確信を持ちながら帰路についた。庭の一角にあった日本庭園風のスペースがあった。その姿は不釣合い、でもどこかでその施設の空気に溶け込もうとしているような気がして、そのイメージが今も頭を離れない。