「教科担任制について」私の考え | 千葉県議会議員 きょうの田中幸太郎

「教科担任制について」私の考え

 

文部科学省は、教員が専門科目ごとに授業を担当する「教科担任制」の小学校への導入を進める方針を決めました。 

https://www.yomiuri.co.jp/national/20190319-OYT1T50079/

 

小学校では現状、一人の教員が一クラスの全ての教科を指導する「学級担任制」で

運営されていることが多く、「教科担任制」は中学校で広く採用されているシステムです。

 

「教科担任制」の小学校への導入の背景として2020年度にスタートする新学習指導要領により、英語(小学3年生から「外国語活動」がスタート、5年生で「英語」が必修化)とプログラミング教育が開始されることが挙げられるでしょう。

 

わたくし田中幸太郎は、この小学校への「教科担任制」の導入に賛成です。

質の高い教育の提供という面からも、また教師の負担軽減という面からも、効果の見込める取り組みだと思うからです。

児童にとっては、一つの課題に対してより深い指導を受けられることや、複数の教師の目で育てられることで理解してもらえ、たとえ学級担任とそりが合わない場合でも他教科で活躍の場が与えられるなど、メリットのある「教科担任制」。

教師にとっても、専門外の教科への不安が解消されたり、労働時間が減り深刻な教員のオーバーワークの解消につながるという面では歓迎されるでしょう。

 

この「教科担任制」、すでに導入・実施をしている地域があります。

いち早く導入したのが、兵庫県。

2009年度から

教員の専門性を活かし、児童の学力向上をねらう

複数の教員により、児童の多面的理解をすすめる

「中一ギャップ」を解消する

ことをねらいとして「兵庫型教科担任制」の実践研究を進めています。

その結果、

・専門の教員により教材の研究が進み授業の改善が図られた

・教員間のコミュニケーションが活性化された

・小中学校が連携して相互に授業研究を行ったり、中学校の教員による出前授業が実施されたなど、

その他多くの成果が得られたということです。

児童の約8割が「授業を楽しいと思うことが多くなった」「教えてもらう先生がかわって、よくわかる授業が増えた」と答えた(2012年度調査)ということが、

その効果を雄弁に物語っているでしょう。

 

一方で、配慮が必要な児童への適切な対応方法や、各児童の学力や学習状況の把握方法、また行事や教師の出張などに応じた時間割の調整など、課題も見出されました。

 

福島県でも同様に、2017年度に「教科担任制」を試験的に導入しました。

県内の子どもの学力向上が長年の課題となっていた福島県。

2016年度の全国学力テストでは、8科目中7科目において平均正答率が全国を下回ったことに危機感をもったことから、高学年を中心に、国語・算数・理科・社会の各教科の中で最も得意とする教員が指導にあたる取り組みを行っており、今年度までの成果を見て、他校への展開を検討するとのこと。

 

しかし、もちろん良いことばかりでありません。

児童の実態を把握するのに「学級担任制」よりも時間がかかったり、各教科の授業時間に融通をきかせづらいこと、

また、教科担任制になることで、授業が教科の枠を超えられなくなるのではないか、

という懸念もあります。

たしかに変化が著しく、先がどうなるかわからない未来を生きていく子どもたちには

ますます「教科を超えた力」が求められていくと思います。

各教科の授業で学んだこと得たこと同士を、自分で結び付けて考えてみることや、

児童同士で話し合ったりして、「理解していること・できることを、どのように使っていくか」ということを促す働きかけが必要となるでしょう。

教員の数不足も大きな課題です。

 

それでもやはり、未来の宝である子どもを育てる教育は、最重要事項であると考えています。

より質の高い教育を提供するために、県の教育委員会に働きかけられるよう、頑張りたい思う次第です。


 

田中幸太郎

公式サイト