「中核市」という選択肢
山形市、福井市、甲府市、大阪府寝屋川市の4市が来年4月1日から「中核市」に指定されることが、26日の閣議で決定しました。
この「中核市」、耳にしたことがある方も多いかと思います。「中核市」についてご説明するにはまず、「政令指定都市制度」についてお話を始めましょう。
政令指定都市制度は、都道府県の権限を都市に移譲するもので、1956年に運用が開始されました。
地方自治法では、指定都市の要件として「人口50万人以上の市であること」と定めていますが、実際の運用としては70万人程度の人口で指定都市となっています。
その他、法令では規定されていないものの、都市としての規模や機能、移譲された業務を処理する都道府県と同等の行政能力や体制などを十分に持つことが、指定都市には求められます。
2018年10月現在、指定都市の数は20市で、都道府県の事務機能の一部を担い、様々な権限と財源が与えられています。
この政令指定都市以外でも、比較的規模や能力が大きい都市に都道府県の事務権限を切り出すことで、より市民の近くで行政運営がなされることを目的として、「中核市制度」が施行されました。
一般市と比べた中核市の特徴は、保健衛生に関する業務を担うことです。保健所を設置して、感染症予防のための措置や、飲食店営業の許可なども市で行います。その他、福祉、教育、環境、まちづくりに関して、都道府県から移譲された業務を行います。
中核市になるためには、「人口20万人以上の市であること」が指定の要件となっており、市からの申し出によって政令で指定し決定されます。
このたび指定された4市を加えると、中核市は全国で58市になる見込みです。
中核市になることで、市民のすぐそばで、よりきめ細やかで柔軟かつ迅速なサービスを行うことが可能になります。都道府県の窓口でしかできなかった業務が市の窓口で行えるようになることは、市民や事業者にとって非常に便利です。
中核市を目指す都市にはそれぞれのねらいがあり、上記のようなわかりやすいメリットもありますが、表面化していない、わかりづらい課題も多々あるかと思います。
我が市川市も、かつて政令指定都市となることを検討していた経緯がありました。
私は、これからの持続可能な行政運営の手法として、市の合併をせずとも近隣の都市と連携して効率的に税金を活用し市民に必要なサービスが提供できる仕組みが必要ではないかと考えており、これからも模索してまいります。
また、市川市にとって、中核市を目指すことが必要かどうかについての研究もあわせて進めてまいります。 田中幸太郎