昨夜のティーレマン・DSKの演奏会の感想です。


昨夜はバスドラム真後ろ一列目(P2-26)でまさにオケの
一員のようにティーレマンを真正面から見る事が出来る席。
着席した時は眼下に広がるの打楽器群をみて、一瞬失敗
したかなと思いましたが 演奏が始まってみると全く
五月蠅さを感じず、眼前のオケの響きと音のバランスを
的確に指示するティーレマンの指揮ぶりを満喫しました。


最初に演奏されたリストの「オルフェウス」。選曲の意図が
判りませんでしたが、聴いてみるとSKDの室内楽的な
アンサンブルの妙味が満喫できる素晴らしい演奏でした。
ティーレマンも音を出し過ぎず精緻なアンサンブルの徹底を
図っていたようにみえて演奏会最初の曲として最適な
選曲に思えました。逆に言うとそれだけの自信があって
初めて選べる曲だと思いました。


人数をグッと絞った「ジークフリート牧歌」は管楽器の
音色がとても素敵でした。ステージ後ろから聴いた
ほぼ1管編成(クラとホルンは2管)のそれぞれの奏者の
魅力的な音色を聴いているとこの曲における管楽器
セクションの重要さを初めて認識したと言っても良いくらい
の演奏でした。


メインの「英雄の生涯」について前の週に同じホール
(RA1列目)聴いたパーヴォ・ヤルヴィとN響の演奏とは
全く傾向の違った演奏でした。
また、同じ対向型の配置でしたが、管楽器、打楽器の
配置がN響とほぼ反対でした(笑)
N響でRA側にあったホルン、スネア、ハープ等がLA側に
なりトランペットなどがLA側。従ってトランペットが
舞台裏で演奏する場面では奏者がRA側に退場。


冒頭部分の威圧感はN響の方があったのは意外な感じ。
曲が進むにつれて音楽自体が際限なく膨れ上がってくる
凄まじさに只之圧倒された演奏でした。特に「戦場の英雄」
以降、随所で見られたテンポの動き。癪ですけどティーレマン
(とSKD)マジックに嵌りました (笑)

Vnソロは第一コンマスのマティアス・ヴォロングさん。
前回の来日でもお目にかかりました。圧倒的なVnソロで
息を凝らして聴き入ってしまいました。「英雄の伴侶」での
若い英雄の溢れ出る活力とと「英雄の引退と完成」での
人生の終焉を迎えた英雄の静寂感を見事に弾き分けて
いました。かれは1999年シノーポリ時代以降コンマスを
務めているとの事です。

このド派手な曲でティーレマンはオケを抑える指示の
方が多かったと思います。表情を変えずに振り続けた
彼が最後の静寂部分直前のフォルティッシモのトゥッテイで
真っ赤な顔で大きな口をあけてオケにトゥッティを
要求すると思わず私のの身体も動いてしまう。バスドラの
奏者が力余ってバチをぶん投げてしまうくらいの迫力
でした ← ちょっと怖かった (-_-;)


アンコールのローエングリンはもう何も言う事ありません。

ティーレマンがコンバスをあおっていたのが印象的。


この人たち、勉強で身に付けたR.シュトラウスやワーグナーでは

無く、今でも偉大な作曲家たちと生活をしているのだなあと改めて感じ

させられたのがショックでした。