2014年11月24日(月・休) 14:00開演 @サントリー・ホール
ブラームス:ピアノ協奏曲第1番 ニ短調 作品15
<ピアノ:クリスチャン・ツィメルマン>
ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調 作品95 「新世界より」
《アンコール》
*グリーク:ペール・ギュントより ソルヴェイグの歌
*ドヴォルザーク:スラブ舞曲 第15番
2014年11月25日(火) 19:00開演 @サントリー・ホール
ブラームス:ピアノ協奏曲第1番 ニ短調 作品15
<ピアノ:クリスチャン・ツィメルマン>
R.シュトラウス:交響詩 「ドン・ファン」 作品20
R.シュトラウス:歌劇 「ばらの騎士」組曲
《アンコール》
J.シュトラウスII:ピッツィカート・ポルカ
リゲティ:ルーマニア協奏曲~第4楽章
マリス・ヤンソンス
バイエルン放響
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まさに「完成期」を迎えたと音楽ジャーナリスト トーマス・
ケッスル氏がプログラムに寄稿したマリス・ヤンソンスと
BRSOの演奏会。サントリーホールの2回ともツィメルマンの
独奏でブラームスのPf協1番です。
2日連続同じ会場で同じ演奏者で同じ曲を聴くと言うのは
あとから考えると贅沢な事でした。
ブラームスの1番はオケが豪快に鳴り響くと言うイメージを
持っていましたが今回の演奏は全く違いました。出だしの
長いオケの導入部が非常に繊細な弱音を駆使しが細やかな
心配りが伝わってきます。一本調子にならず揺蕩うように
揺らぎまくる部分と1楽章のコーダや3楽章のように超絶
テクニックを駆使した激しく豪快な部分が全曲を通して
めまぐるしく入れ替わる素晴らしい演奏でした。
ブラームス的ではないと言われるかもしれませんが
独奏者、指揮者、オケが一体となって音楽に奉仕する姿勢が
見える本当に音楽的なブラームスでした。
ツィメルマンもコンマスと触れ合うくらいの近い場所に座って
オケの響きに耳を傾けながら彼自身もコンマスに
「もっと歌って」と言うような仕草をしたり、木管奏者に
目配りをした(良い意味で)指揮者任せにせず積極的に
演奏にかかわってゆくツィメルマンの姿は素晴らしかった
です。個人的には24日の演奏の方が独奏者、オケとも
よりスムースに聴こえましたがいずれにしても大変な
演奏を聴けて良かったです。
それにしてもツィメルマンのピアニッシモを聴いていると
ショパンを思い起こしてしまうのは彼の経歴のせいでしょうか。
不思議な気持ちでした。
後半は24日がドボルザークで25日はR.シュトラウス。
やはり25日のR.シュトラウスがヤンソンス、BRSOの
「完成期」を目のあたりにした演奏でした。
「ドン・ファン」は演奏が開始直後からまさにR.シュトラウスの
世界。明るい音色で会場をR.シュトラウス色にすっかり
染め上げてしまいました。前半、強烈な印象を残した
ブラームスの直後に、更にそれ以上印象の強い演奏が
聴けたのは驚きでした。
更に「ばらの騎士」組曲。冒頭のオケの咆哮に始まり
オクタヴィアンとゾフィーのであい、3幕の三重唱、
ワルツなど良く知ったメロディーが洪水のようにあふれ出る
演奏で夏にザルツブルグで観たオペラ全曲を思い出しながら
ひたすら感傷に浸っていました。
25日はアンコールは一曲目は最初と最後の和音に木管と金管が
「バン!」と加わり全く個性的なピッチカート・ポルカ。「これじゃあ
踊れないよ」と言われそうな融通無碍なポルカ。そして2曲目は
聴いたこともないリゲティの超絶技巧曲。ヤンソンス、BRSOの
真価ここにありと言った感じでした。黒髪の若いコンマス
上手かったです。
25日に比べると24日の後半は「新世界より」と言う曲目の
せいか前半のブラームスの存在がひときわ大きく感じられた
演奏会でした。
「新世界より」の1楽章の圧倒的なオケの威力とと2楽章の
イングリッシュホルン(2nd Ob持ち替え)の心のこもった
メロディが素晴らしかったです。1楽章の繰り返しが無かった
のも好みでした。繰り返すとせっかく盛り上がった気分が
戻ってしまうように感じています。
3楽章、4楽章はこちらの耳が満腹状態と言う贅沢な演奏。
アンコールのソルヴェイグの歌とスラブ舞曲も休日の
午後の演奏会にはふさわしかったかもしれません