ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品77
ハチャトゥリアン:ヴァイオリン協奏曲
シェリング、ドラティ、ロンドン交響楽団
1962年7月、1964年7月録音
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日本でシェリングは地味な存在だったと思いますが、
一時期はオイストラフ、スターンよりも好きな演奏家でした。
今は無くなってしまった新宿の厚生年金会館でベートーヴェンの
協奏曲を聴いたのも良い想い出です。シェリングのヴァイオリンの
音色は何とも言えない音の深みと太さがあってなかなか
レコードでは味わえないと感じて そこの物足りなさを感じたり
していました。
久しぶりにマーキュリー・リビング・プレゼンスのCDを聴きました。
このCDは半世紀も前の録音、シェリングが44歳と46歳ですから
彼の最盛期の記録だと思います。
ブラームスの出だしのヴァイオリンが細めに聞こえましたが
ドラティのきめの細かいサポートを得て素晴らしいブラームス
でした。特に1楽章のカデンツァはクライスラーだと思いますが
惚れ惚れとして聴き惚れます。
ブラームスにもまして良かったのがハチャトゥリアンです。
真っ正面から生真面目な取り組みですが、逆にそれが曲としての
魅力を感じさせてくれます。両端楽章の迫力に満ちた演奏も
素晴らしいですが、特に民族色豊かな2楽章の歌心は聴いていて
蕩けそうになります。この曲はなかなか好きになれる演奏が
見つかりませんが、この演奏は良いと思います。
シェリングはやはり巨匠だったと改めて感心した次第。