第731回都響定期演奏会Bシリーズ


3/29(木) 19時開演、 

サントリー・ホール (A席 LA-5-26)

こたの音楽三昧

マーラー:亡き子をしのぶ歌
マーラー:大地の歌


メゾソプラノ:イリス・フェルミリオン
テノール  :ロバート・ギャンビル
指揮    :エリアフ・インバル
東京都交響楽団

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昨晩はサントリーホールでの演奏会を楽しんできました。

満席で当日売りはわずか30枚と言う事前情報でしたが

空席はかなり目立ちました。勿体ない限りです。


今回は独唱者や指揮者を真横から見る位置でした。

独唱者の声が前に出るので音響的に不利かなと思いましたが

実際はあまり気になりませんでした。木管のバランスが強めに

聞こえるかなと言う程度で演奏を楽しむには問題無しでした。


1曲目の「亡き子をしのぶ歌」がとても良かったです。

生演奏を聞くのは初めてですしCDでもあまり聞かない曲ですが

一曲目からすっかり演奏に惹きこまれました。本来は失った

子供を悲しむ歌ですが、こちらはドイツ語が判らないせいもあり

かなりロマンチックに聞こえました。こんなに良い曲だったかなと

思った次第です。フェルミリオンは全て暗譜でした。


休憩後の「大地の歌」は全体的に早めのテンポが基本でした。

すっきりとした演奏でいかにもインバルの演奏と言う気がしました。


マーラーにどっぷり浸かると言うのではなくやや離れたところから

マーラーを見つめる。これがインバルのマーラーだと思います

(ショスタコーヴィチでも同じだったように記憶しています ← 12番)


都響も気になるミスも無くとても充実した演奏を繰り広げていました。

良い意味でのリラックスした演奏態度を見ているとインバルとの

間でお互いに信頼し合っているのかなと感じ、聴いていて気持ちが

良かった。

ここでもアルトのフェルミリオンの頑張りが目立ちました。

「亡き子をしのぶ歌」に続けて「大地の歌」を歌うと言うのは

体力が必要だと思いますが細身の体型にも似合わず最後まで

緊張が切れない歌唱がとても感動的でした (さすがに大地は

譜面を見ながらの歌唱でした)。

テノールのギャンビルは出番も少ないし例の難しい1楽章から

オケに対抗して歌わなければならないので大変だったと思います。

LAでは声が聞きづらい部分がありましたがやむを得ないかなと

思っています。


どちらの曲もインバルはきちんとスコアを読みながら指示を出して

いました。これではオケも気が抜けないでしょう。当たり前の事ですが

とても素晴らしい事だと思います。

最近、TVで暗譜で人間メトロノームのような指揮をする指揮者を

見たばかりだったので、指揮をすると言う事はこれで無くてはと

改めてインバルが好きになりました。「大地の歌」の6楽章の一番

最後の10小節位を演奏する為にインバルがページをめくった時には

さすがにそこまで徹底するのと言う気持ちになりましたがすごいです(笑)


とても素晴らしい演奏会でした。