今朝の朝日新聞の天声人語に、茨木のり子さんの詩が紹介されていたのでうれしくなりました。
茨木さんは、大阪生まれの女流詩人で、2006年に亡くなりました。
りんとした詩魂ともいうべきものをもっている方で、私の大好きな詩人でした。
私は、勝手に「人生の先輩」とずっと心の中で位置づけていた気がします。
さて、今朝の天声人語。
そこには、カザフスタンのバイコヌール基地から宇宙へ飛び立った野口聡一さんのことが書かれていました。
バイコヌール基地とは、ソ連時代、ガガーリンが人類初の宇宙飛行をしたという記念の地らしいです。
「地球は青かった」
とガガーリンがその時語った言葉はとても有名ですが、それと対のように語られた知られざる言葉も、実はあったのだとその記事には書かれていました。
「空はとても暗かったが、地球は青みがかっていた」
と述べた。つまり、
「宇宙は暗黒だったが、地球は青かった」
ということを言ったのだと。
この二つ。
宇宙の暗黒と地球の青さ。
その対比があってこそ、感動への理解はいっそう深まるように思われる。
こう天声人語には書かれていました。
また、
『鏡に映る己が姿を見ると、人は自分の存在をより意識し、自己愛も強まる。
それに照らせば、宇宙開発とは、人類が地球を愛おしむのと表裏一体の営みであろう。』
こうも続けられていました。
ガガーリンの飛行から48年後の今年。
野口さんは、どんな地球を天上から見るのでしょうか。
48年前に宇宙から伝えられた、この地球の情報。
それを詩にしたのが、前出の茨木のり子さんの詩です。
少し長いのですが、全文をご紹介しておきましょう。
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《水の星》
宇宙の漆黒の闇のなかを
ひっそりとまわる水の星
まわりには仲間もなく親戚もなく
まるで孤独な星なんだ
生まれてこのかた
なにに一番驚いたかと言えば
水一滴もこぼさずに廻る地球を
外からパチリと写した一枚の写真
こういうところに棲んでいましたか
これを見なかった昔のひととは
線引きできるほどの意識の差が出てくる筈なのに
みんなわりあいぼんやりとしている
太陽からの距離がほどほどで
それで水がたっぷりと渦まくのであるらしい
中は火の玉だっていうのに
ありえない不思議 蒼い星
すさまじい洪水の記憶が残り
ノアの箱舟の伝説が生まれたのだろうけれど
善良な者たちだけが選ばれて積まれた船であったのに
子子孫孫のていたらくを見れば この言い伝えもいたって
怪しい
軌道を逸れることもなく いまだ死の星にもならず
いのちの豊饒を抱えながら
どこかさびしげな 水の星
極小の一分子でもある人間が ゆえなくさびしいのもあたり
まえで
あたりまえすぎることは言わないほうがいいのでしょう
~茨木のり子~
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