サトウハチローさんという詩人、童謡作詞家、作家がいます。

彼の書いた詩の中でも、最も有名な詩の一つに、

「ちいさい秋みつけた」があります。
それにまつわるエピソードが、先日の朝日新聞に載っていました。


この詩は、ハチローさんが1955年にNHKから、放送芸能祭に発表する歌の作詞を依頼され作った詞だとか。


本当は、その本番一回きりでこの歌はお蔵入りになるはずだったのです。

が、当時ハチローさん専属のコロムビアレコードのライバルだったキングレコードのディレクターが、ラジオでこの歌を聞いていました。

「背筋に電流が走った」

彼は、その時感激した思いをそう述べています。


そして、そのディレクターはハチローさんがフリーになる7年後をひたすら待ち続けました。

ライバル会社の社員というしがらみから、どんなにか彼は解き放たれたいものだと思ったことでしょう。

しかし、それは無理なこと・・・・。

その長い長い7年が過ぎたあと、彼は満を持してハチローさんにこの曲のレコード化を持ちかけたのでした。


この時LPレコード化に際して声を掛けられたのが4人組のボニージャックス。

録音現場に居合わせたダークダックスも、

「おれたちにも歌わせて」

と言って吹き込み、競作となったと言います。


この曲でボニージャックスはレコード大賞童謡賞を受賞。

ジャズから日本の叙情歌に方向転換しました。



父の作家佐藤紅禄の浮気のせいで、ハチローさんは14才の時に愛する母から置き去りにされました。

父の元に残されたのは、兄弟の中で彼一人。

その寂しさから、素行不良を重ね15歳で少年感化院に送られます。

その時に北原白秋やアンデルセンの詩集と出会ったのが、その後の彼の運命を決定づけたと言っても過言ではないでしょう。


ハチローさん21歳の時に、不遇のうちに母ハルが亡くなります。

それからもいくつもの母への詩を、ハチローさんは書き続けました。


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               《おかあさんはわたしを生んだの》



               おかあさんはわたしを生んだの

               それから

               わたしをそだてたの

               それから

               わたしをたのしみにしてたの

               それから

               わたしのために泣いたの

               それから

               それからあとはいえないの



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ひたすら母を恋い慕って生きたハチローさんの心のうちの淋しさを思うと、切なくて胸がつまります。


彼の故郷の北上市は、ハチローさんを記念し、

「おかあさんの詩(うた)」全国コンクールを主催しています。

今年は3歳から86歳まで3991点もの応募があったそうです。


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             《ちいさい秋みつけた》


       誰かさんが 誰かさんが 誰かさんが みつけた

       ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みつけた

       めかくし鬼さん 手のなる方へ

       すましたお耳に かすかにしみた

       よんでる口笛 もずの声

       ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みつけた


       誰かさんが 誰かさんが 誰かさんが みつけた

       ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みつけた    

         お部屋は北向き くもりのガラス

       うつろな目の色 とかしたミルク

       わずかなすきから 秋の風

       ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みつけた

      

       誰かさんが 誰かさんが 誰かさんが みつけた

       ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みつけた       

       むかしの むかしの 風見の鳥の

       ぼやけたとさかに はぜの葉ひとつ

       はぜの葉あかくて 入日色(いりひいろ)

       ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みつけた



                      サトウハチロー作詞

                      中田喜直作曲


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       いつも唇にうたを