美しいデザインの法則 「黄金比」
身の周りに存在する美しく普遍的なデザイン、そこには美しく感じさせる数学的法則があることをご存知
でしょうか。
デザインを学んだ方であれば良くご承知の「黄金比」の法則です。
縦と横の比率が最も均整がとれた長方形を想像してみてください。
人により様々なイメージが浮かぶかもしれませんが、この黄金比に基づいた形が最も美しいと言われています。
それではなぜ黄金比には美しいと感じさせるバランスがあるのでしょうか?
歴史上、黄金比を始めに数学的に解き明かした人はユークリッドであると言われていますが、黄金比を自然界に存在する法則として数式化したのは、イタリアの数学者フィボナッチです。
1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,89,144,233,・・・・・この数字の配列がフィボナッチの数列です。
わかりましたか?
最初の2つの1を除いた数列のそれぞれの数は,1 つ前の数と2 つ前の数との和になっています。
2=1+1,3=1+2,5=2+3,8=3+5,・・・・・・
はじめに一 辺が1の正方形を2つならべ,その横に1 辺が2の正方形,1 辺が3の正方形,1 辺が5の
正方形を次々にならべて無限に大きくなる長方形が出来上がっていきます。
長方形のたて,横の長さはフィボナッチ数となります。
ちょっと難しいお話になってしまいましたね。
それではなぜこの数列をご紹介したのかをご説明しましょう。
その理由は、これと同じ数列が自然界の様々なところで簡単に見受けられるからなのです。
例えば、松ぼっくりやパイナップルのかさを良く見ると、この配列になっているのをご存知でしょうか。
ひまわりをよく観察してみると,真ん中にある種のならび方はラセン状に21 個,34 個,55 個,89 個・・・となっています。これらの数列もフィボナッチ数列です。
例えば、樹木の枝の成長もフィボナッチ数列で説明できると言われています。
長方形の中にあるそれぞれの正方形の角を滑らかに結んでいくと、ラセン形が現れます。
四角形に内接するラセンは、オウムガイの殻の形状になぞられることも多いようです。
それでは前述の長方形に話を戻しましょう。
フィボナッチの数列による長方形を「黄金長方形」と呼ばれています。
黄金長方形の縦横の比率は、約5:8です。つまり、1:1.618が黄金比ということになります。
この1:1.618という比率の長方形は私たちの身の回りに沢山目にすることができます。
例えば、名刺の縦横比は黄金比です。クレジットカードも同様ですね。
デザインが美しいと評価されている工業製品にも黄金比が多く取り入れられています。
i-Podやキャノンのデジカメなども黄金比を守ってデザインされていることは有名な話ですね。
数ある商品の陳列の中から、人が心の動きとして美しいと感じて自然に手にとっているデザインには
黄金比が応用されていることが多いのです。
古代の歴史的な建築物や芸術作品にも黄金比が採りいれられています。
例えば、ピラミッドの高さと底辺の半分の長さは黄金比です。
ギリシアのパルテノン宮殿の縦横比も黄金比です。
ミロのビーナスも体のいたるところに黄金比が成り立っています。
皆さんの体も黄金比です。
身長を、おへそから床までの長さで割ってみてください。およそ1:1.6つまり黄金比に近い数字です。
肩から指先までの長さを測り、それを肘から指先までの長さで割る。
腰から床までの長さを、膝から床までの長さで割る。これも黄金比です。
体のいたるところに黄金比のバランスがあります。
いかがですか、もともと黄金比は自然界に存在する美しい形の法則であって、その法則性に気づいた
芸術家や建築家が作品の中で実現してきたバランスなのです。
芸術家では、ダ・ヴィンチも発見していた法則で、「モナリザ」や「最後の晩餐」などの作品には黄金比
を強く意識して制作されていることが見て取れます。
さて、ご想像通り、家づくりについても黄金比は成立します。
皆さんが作り上げる平面計画のプランニングにも、フィボナッチ数列が生かされるならば、大変心地よい
設計が出来上がり、立面計画にも黄金比を応用することにより均整のとれた美しいデザインが出来上がります。
黄金比=1:1.618 をぜひ覚えておいてください。
これはあくまでもオマケの話ですが、当ブログに掲載してきた画像の多くは黄金比に基づいてトリミング
してあります。