忍びの国/和田 竜
¥1,575
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を読んだ。『のぼうの城』に続く和田竜の第二作だけど、あんまり評判が高くないのでこれまで読んでこなかったけど、ブックオフのセールで安く手に入ったので読んでみたよ。まあ、本好きな人が退屈しのぎに定価よりも安い値段で入手して読む分にはまあそれなりに楽しめるんじゃないだろうかと思う。過度な期待は禁物だけどね。


以下ネタバレなんで、知りたくない人は読まないように。





帯にも書いてある信長と味方を術にかけ、わが伊賀国を攻めさせよ。ってのは一体何なんだと以前から疑問に思ってたんだけど、読んでやっと疑問が氷解した。


隣国にまでうざい敵、織田信長が迫ってきた。奴らに目にもの見せた上で、奴らを倒して名を売ろう。信長が自分らの手強さを警戒して手を出してこないなら短慮な信長のせがれ、次男信雄を罠にかけてやろう。その為に伊賀者としては真っ当な心根を持っている男に、欲のみに生きる伊賀者に心底愛想を尽かさせて、信雄に伊賀攻めを進言させよう。そう言う算段だった訳だ。


もちろん勝つ算段があったからこそ攻めさせた訳だけど、参戦しないと思っていた男が参戦してしまった為、形勢は一気に伊賀に不利になってしまう。


しかし、この物語はただの戦記物ではなくて、純愛ものでもあるんだよね。しかも、生い立ちのせいで思い切り不器用にしか生きられない男女の純愛なのだ。その破壊力たるや恐ろしきもので、戦の形勢さえひっくり返し、その後には一つの国すら滅亡に導く程だったりする。何とはた迷惑なと思わずにはいられないけどね。


ただ、どうもなあ。この作者の話って、恋愛が幸福に成就しなさ過ぎないか?作者には一体どんなトラウマがあるのかと邪推したくなる程に。登場する男女が結構魅力的なだけに勿体ない。この次は是非、国が一つや二つ滅びてもいいから恋愛が成就する話を書いて欲しい。そう思うよ。