「「権力」を握る人の法則」 | Jiro's memorandum

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泉治郎の備忘録 読書の感想や備忘録 ※ネタバレ注意
【経歴】 日本株アナリスト、投資銀行、ネットメディア経営企画、教育事業経営、人材アドバイザー、新聞社経営管理、トライアスリート

「「権力」を握る人の法則」(ジェフリー・フェファー)


なかなか面白い本だった。
 
“なるほど、確かに”、と思ったのは、権力が長寿や健康によい影響を与えるということや、仕事ができれば昇進するというのは幻想だということ、など。「人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている」をすぐに連想した(本書に影響されているのかもしれない)。
 
参考になる考え方やふるまい方も多々あった。小ワザでは「相手の話を遮る」のが効果的というのが参考になった。
 
 
 
以下、備忘



モチベーションと職業的成功の関係を調べた調査によれば、①チームワーク重視(目標達成より人とのつながり)②目標達成を最優先③権力や地位の獲得が最大のモチベーション、のうち、組織内影響力も目標達成も③が最も成功を収めている。



◇権力志向になるべき理由

1.長く健康に人生を楽しめる
権限と死亡リスクに相関性あり。権限のない低い地位の人は無力感を感じストレスがたまる。事態を自分でどうにかできることは健康と長寿につながる。

2.金持ちになれる

3.何かを成し遂げるためには欠かせない



◇仕事ができても昇進できない

業績をあげれば機嫌取りなどしなくても自ずと上に行けると考えるのは、多くの人が犯しがちな重大な思い違いのひとつ。

調査によれば、個人の評価は仕事の成果よりも上司との関係性。給与は実績よりも年齢および在職期間との相関性が強い。

必要なのは、存在に気づかせること(目立つこと)、次に、有利な基準で評価されるように働きかけること、そして、上の地位にふさわしい能力を持っていると認めさせること。

上司を気分よくさせる。やってはいけないのは、不快なヤツ、ナマイキ、敵対的、と認識されること。効果的なのは褒めること。



◇「権力」を手にするための7つの資質

・決意
何事も大成するためには努力と勤勉と根気、強い意志、が必要。

・エネルギー
元気のない人が高い地位に就くことはまずない。

・集中
真夏に干し草を出しておいても自然に発火することはない、ルーペをかざして太陽光線を焦点に集めれば、燃え出す。

・自己省察
自分を振り返る内省や省察なしに学習や成長はない。

・自信
自己主張できないと何事でも不利になる。自信なげな人は自信ありげな人にどうしても押される。

・共感力
勝ち負けより実利。反対者の立場を思いやるのは、回り道のようで、目標に近づくよい方法。

・闘争心
簡単に譲歩しない、手強い相手にも堂々と渡り合う、押しの強い姿勢。



◇出る杭になれ

自分というブランドを確立し、売り込む。控えめに引っ込んでいてはいけない。

手術のときの痛みは忘れてしまう。他人から受けた侮辱や罵詈雑言も、いずれは忘れるし、許すもの。激しく対立した敵でさえやがては友になることがある。

欲しいもの(昇進など)を手に入れようとするときに目立つのは決して悪いことではない。



◇「権力」を印象づけるふるまいと話し方

・聴衆を意識する

・怒りを示す
研究によれば、怒りを表現する人は「支配力がある、強い、能力が高い、頭がいい」と見なされる傾向がある。

・外見や動作に気を遣う
背中をぴんとまっすぐに、胸は反り気味、骨盤を拡げるようにする。腕をくねらせたり円を描く長く曲線的な動作より短い直線的な動作。

・記憶を手掛かりに感情を呼び起こす
感情を演出しなければならないこともある。

・舞台装置を整える
特別感のある場所、ふさわしい雰囲気、を設定する。

・準備の時間をとる
不安を抱えたまま話しはじめない。長いと感じるほどの間をとって考えをまとめる。

・相手の話を遮る
自分の力を感じさせ、力関係を自分に有利に導けるのはまちがいない(多くの研究が実証)。

・議論の前提に疑義を提出する
常識とされてきた前提に異議を唱えれば力を誇示できる(あるいは一目置かれる)。成功の尺度はこれでいいのか、本当の競合はどこか、将来の脅威は何か、など。

・説得力のある言葉を選ぶ
「永遠に残るのは言葉だけだ」(ウィンストン・チャーチル)



◇周りからの評判を良くしておく

メディアを活用する(自分で売り込むのではなく、自然発生的に取り上げられるのが理想)。

背伸びしているうちに好ましい印象が有利に働き、実力以上のイメージが実力になっていくもの。



◇不遇の時期を乗り越える

自分が優位に立っても相手の体面を潰さないようにする(そうすれば立場はますます強くなる)。
逆に、敗者がすべてを失ってしまうような状況を作ってしまうと、「窮鼠猫を噛む」の通り、相手は捨て身になってかかってくる恐れがある。

失敗しても、自信満々で、勝者のようにふるまう。



◇「権力」の代償

・一挙手一投足を監視される

・時間の自由を失う

・多大な時間とエネルギーをとられる

・人を信じられなくなる

・権力は中毒になる

社会的地位の高い人たちと議論すれば、気分は高揚する。自分の命令で動く部下がどっさりいれば、自尊心はとめどなく膨らむ。その地位を離れるのは、つらいもの。中には、地位にしがみつく人が出てくる。