「静かな人の戦略書」★★★☆☆ | Jiro's memorandum

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泉治郎の備忘録 読書の感想や備忘録 ※ネタバレ注意
【経歴】 日本株アナリスト、投資銀行、ネットメディア経営企画、教育事業経営、人材アドバイザー、新聞社経営管理、トライアスリート

「静かな人の戦略書」(ジル・チャン)

本書は、とかく外向型の人がビジネスはじめ社会全般では評価される傾向にある(と思われている)が、内向型の特徴・長所を理解・評価し、うまく引き出していこう、という趣旨。
 
自分は、どちらかと言えば内向型だ。特に若いころは完全に内向型で、コンプレックスを持っていた。いまでも、外向型の人をうらやましいと思う時がある。ただ、昔ほど気にしなくなった。むしろ、例えば営業マンと付き合う場合、典型的な外向型で調子のいい口のうまい人よりも、内向型で口数の少ない人の方が信頼できると思っている。
 
とはいえ、いまの世の中的には、やはり外向型の人の方が”うまくやっている”のかな、と思うことはあるし、自分自身の内向的性格に多少なりとも悩みのようなものは持っており、読んでみた。
 
本書に出てくる“内向あるある”には、何度もうなずけた。自分に当てはまるものでは、パーティーなどへの参加、初めての人との会話、突然振られる発言、などは苦手だ。
一方、プレゼンや会議での発言などは(昔は全力で避けていたが今は)嫌いではない。結局、事前に準備したり自分の意見に自信があれば、(案外目立ちたがりの性格でもあるので)大勢の前での発言も大丈夫なのだろうと自己分析している。
 
本書でも事前準備の有効性を指摘している。例えばパーティー参加の際などでも、そのパーティーに参加する目的は何か、そもそも参加する必要があるのか(参加しない選択肢もあり)、話すことに困ったときにはどんなことを話すか(ネタの内容)、まで予め考えておけば、気おくれすることもないだろう(むしろ参加が待ち遠しくなるかも)。
何につけ、備えあれば患いなし。あいまいな目的でなんとなく行動するのではなく、事前準備は周到なほどいいと改めて思った。その他感じたことでは、自分のペースで話す、慌てない、という意識が有効だ。
 
自分の内向的性格を冷静に客観的に分析できたことも読後の収穫。今後も、内向型の特長をさらにストレッチしていこう、と前向きになれる本でした。
 

 

    

深い川は静かに流れる

 

 
 
以下、備忘
 
 
本書の目的は、内向型の人が自分自身をよく理解し、仕事で成功するために、自分ならではの方法を見つけるお手伝いをすること。
 
■内向型の特徴
・じっくり考える(考えごとに時間がかかり、会話で黙っている時間が長い)、物柔らかな口調
・話しているときは視線をそらし、聞くときは目を合わせる
・準備をしないと気がすまない
・細かい部分を大切にし、注意を払う
・記憶力に優れているが、思い出すのに時間がかかる
・話すより書くほうが、言いたいことを明確に表現できる
・昔のことをくよくよ考える
・人の外見に無頓着、顔をよく覚えていない
・友人は少ないが、つながりは深く長い
・職場での人柄と仲間内での人柄は少しちがう
 
 
 
大人数より「1対1」で話をする。
 
「傾聴できる能力」を生かす。内向型ならではの感受性も相まって。的を射た、思慮深い受け答えができる。
 
長期的な深い関係を結ぶのが得意。しつこいセールストークなどしない。顧客のことを徹底的にリサーチし、顧客のニーズに耳を傾け、それに応える。
 
内向型はさらりと気の利いたジョークを言うことはできない。しかし、いつも落ち着いていて真面目な人が、たまに軽口を叩いたり、ジョークを言ったりすると、たいていはうける。
 
外向型が報酬を求めて動くのに対し、内向型は危険を回避し、エネルギーを節約し、失敗を減らすための生存戦略を身につけている。
とっさに話せない。自分の考えを述べる前にじっくり考える。行動前の準備を怠らない。
 
観察力に優れる。行間を読むことに長けている。情報を吸収して理解し、深く考える。他人の考えやニーズがよくわかる。
 
ひとつのことに集中できる。無駄な人付き合いに労力を使わない。外向型は短期的な成果に満足してしまうが、内向型は安定を求め、(短期的な目標に集中するだけでなく)長期的な目標に向かって努力する。
 
粘り強い。
 
プランを完璧に用意する。先を見越して計画し、戦略を立てるのが得意。
 
社交は「戦略」がすべて。
ex)雑談のネタを用意しておく(最近読んだ本、おいしいレストラン、休暇中の面白いできごと)。
 
リーダーに「カリスマ」はいらない。
イーロン・マスク、ビル・ゲイツ、ウォーレン・バフェット、マーク・ザッカーバーグ、スティーブ・ウォズニアック、ラリー・ペイジ、など内向型として有名。
『ビジョナリーカンパニー2』「第5水準の指導者」…飛躍を遂げた企業・事業でカリスマ性のあるリーダーはいなかった。成功したのは謙虚でありながら徹底的なプロ意識の持ち主。野心的だが、その野心は個人の利益や名声のためではなく、組織の利益や集団の目標達成のため。孤独に慣れており、内なる精神世界を漂っている時間が長い。よく内省し、観察や計画において注意深く、想像力・創造力を発揮する。謙虚で穏やかで物静か、自己抑制・自制心に優れ、控えめで内気。
 
 
「深い川は静かに流れる」
 
 
 

 

 

 

 

 

「自分のタイプを知るテスト」35項目チェックリスト

 

1.会話中、相手の受け答えが少しでも遅れるとイライラする。
2.たくさんの人と話すより、一対一で話すほうが好きだ。
3.人に説明することで、自分の考えがさらに明瞭になる。
4.身の回りを整理整頓し、清潔に保つのが好きだ。
5.何事も直球を好み、考えすぎず、即行動に移す。
6.疲れた時は、とにかく家に帰って休みたい。
7.早口の人との会話は疲れやすい。
8.独自のセンスを持っている。
9.できるだけ人混みは避けたい。
10.知らない人とも、気楽におしゃべりができる。
11.人混みに長くいると、疲れを感じるだけでなく不愉快にすらなる。
12.たいていの人は、私の話をきちんと聞いてくれる。
13.訪問客が家に来て長居する場合は、訪問客にも手伝ってほしい。
14.大きな仕事をする際は、長時間で一気に片づけるより、いくつかの段階に分けて行う。
15.長い会話や騒がしい会話をした後は、クタクタになる。
16.友人については、数よりも、本物の信頼できる友情を重視する。
17.他の人が何をやっているのか、あまり気にならない。
18.睡眠をたっぷりとるのはとても重要だ。
19.新しい場所や環境ではテンションがあがる。
20.突然邪魔が入ったり、予想外のことが起こったりすること、とても疲れる。
21.おとなしい人、退屈な人、壁のある人、あるいは恥ずかしがりやだと思われている。
22.観察が好きで、細かい部分を重視する。
23.書くよりも話すほうが好きだ。
24.物事を決める前には、経緯をしっかりと把握する。
25.人間関係がギスギスしていても、気づくのに時間がかかることが多い。
26.審美眼(美しいものと醜いものを見分ける感覚のこと)に自信がある。
27.口実をつけてイベントや社交場に出ないことがある。
28.他人を信じやすい。
29.物事について熟考し、細部まで分析することが好きだ。
30.大勢の前での発言は全力で避ける。
31.人の話に耳を傾けるのは得意ではない。
32.人からの期待を大きなストレスに感じることがある。
33.個人攻撃に対して、落ち着いて、スポーツのように対応できる。
34.退屈しがちだ。
35.特別な祝い事があるときは、大きなパーティーなどでにぎやかに祝いたい。

 

内向型:2,6,7,9,11,15,16,20,21,22,24,27,29,30,32
外向型:1,3,5,10,12,14,17,19,23,25,28,31,33,34,35
※4,8,13,18,26は惰性で答えるのを防ぐための質問で、内向型とも外向型とも無関係

 

自分の場合

YES…2,3,4,7,8,9,11,12,15,16,18,19,20,21,22,24,27,29