「きみの友だち」★★★★☆ | Jiro's memorandum

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泉治郎の備忘録 読書の感想や備忘録 ※ネタバレ注意
【経歴】 日本株アナリスト、投資銀行、ネットメディア経営企画、教育事業経営、人材アドバイザー、新聞社経営管理、トライアスリート

「きみの友だち」(重松清)
 
重松清さんの本は「くちぶえ番長」に続いて2冊目。
 
あの、なんだかなつかしい雰囲気を、また味わいたくなって、家の本棚にあったこの本を読んでみた(娘が読み終わったもの)。
 
読み終わって、ほんわかしみじみ余韻に浸り、もう一度パラパラと読み返して、何度も余韻に浸れる、いい本です。
 
エピソードに登場する子どもたちは、「そういう子いるいる」という感じの子たちで、自分の子どもの頃を思い出したり、今の子どもたちを想像したりして、読んだ。
 
主人公の恵美という女の子は、あまりいないけど確かにたまにいる、というタイプの女の子で、好感が持てるというか、とにかくいい感じのキャラだ。
 
そっけなくて、愛想がなくて、一見近寄りがたい、でも、人の気持ちがよくわかって、正直で真っ直ぐで、優しい。さりげなく、でもしっかりと、適切に関わってくれる。
 
表面だけよく見せたり、打算的だったりする子と、対照的に描かれていたと思う。
 
「くちぶえ番長」を読んだ時と同様に、自分の生き方を見つめ直させてくれる本でした。
 
 
以下、備忘
 
 
うつむくと自然に息苦しくなって、顔を上げたときに空気を胸に送り込もうとする。そのときに少しでも多くの息を吸うために頬がゆるみ、笑顔になる。
「だから、笑いたいときには、うつむけばいいわけ。自分の影を相手にして、かげふみしてればいいんだよ。そのうちに息が苦しくなって、顔を上げたくなるから」
 
 
『もこもこ雲』は、こうやってできるんだ。
優しい子は天国に行くときに、『もこもこ雲』を空に残す。自分と似ている子どもを見守るために、『もこもこ雲』になる。優しい子はたいがい要領が悪いから、あまりみんなと仲良くできない。『もこもこ雲』は強い陽射しをさえぎって、がんばれ、と言う。空にぽつんと浮かんで、ちゃんと見てるよ、と伝える。ときどき涙を流す。それが、雨になる。