「すばらしい人体」★★☆☆☆ | Jiro's memorandum

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泉治郎の備忘録 読書の感想や備忘録 ※ネタバレ注意
【経歴】 日本株アナリスト、投資銀行、ネットメディア経営企画、教育事業経営、人材アドバイザー、新聞社経営管理、トライアスリート

「すばらしい人体」(山本健人)
 
 
人体は本当によくできている。この世に生を受けたことを改めて感謝しなければ、と思った。
 
特に、免疫、陰茎、肛門、などの分野は、自分にあまり知識がなかったと言うこともあり、その仕組みには自分の体ながら「すごいな」「超精密だな」と感心。
 
 
現代の人の死因としてがん(悪性新生物)が増加し1位となっているが、これは人が長生きできるようになった結果。高齢化によって、がんによる死亡者の絶対数がまだ増加中なので評価されにくいが、実際にはがん治療は近年驚くほど進歩しているとのこと(実際、死亡率は低下している)。
昔の死因1位だった胃腸炎や結核は今や克服できており、エイズなども深刻な病気ではなくなっている。将来「昔の人はがんで死んでいたんだって」と言われるような日が来るのだろう。そのころには、今は存在しないような病気が死因1位になっているのかもしれないが。
 
 
以下、備忘
 
がんは、遺伝子に何らかの異常が起き、正常な細胞ががん細胞に変わり無秩序に増殖したもの。細胞に起きるこうしたトラブルは、長年「使い古した」体で起こりやすい。
医療の進歩で人体が「長持ち」するようになった結果、がんが増えた。昔はがんになる前に他の病気で死んでいた。
 
 
脚気はビタミン不足が原因。江戸時代に玄米に代わって白米が普及し、脚気が広まり始めた。米の胚芽に含まれるビタミンが精米によって取り除かれてしまったため。
 
明治時代、海軍軍医の高木兼寛が脚気の原因を見抜き、兵食に麦飯を取り入れ海軍の脚気を激減させた。陸軍軍医は「脚気菌」による細菌感染症という説に固執した結果、日清戦争では4000人以上、日露戦争では2万7000人以上の陸軍兵士が脚気で死亡したが、海軍兵士の脚気による死亡は、日清戦争ではゼロ、日露戦争ではわずか3人。
 
 
抗生物質の開発によって、感染症での死者は劇的に減り、平均寿命は急激に伸び、人類の歴史に大きな変化。長らく死因の1位だった感染症が他の病気に取って代わられた。
しかし、奇跡の薬ともてはやされた抗生物質が安易に使われた結果、耐性菌が次々に生まれ、それを殺すための抗生物質が開発され、再びその耐性菌が生まれるといういたちごっこが続いている。
 
 
「一度かかったら二度とかからない」免疫のしくみを利用し、敵(細菌、ウィルス)に一撃をも許さない強力な武器がワクチン。
 
人類の歴史上、ワクチンほど多くの生命を救った薬はないだろう。