「大前研一 世界の潮流2020-21」★★☆☆☆ | Jiro's memorandum

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泉治郎の備忘録 読書の感想や備忘録 ※ネタバレ注意
【経歴】 日本株アナリスト、投資銀行、ネットメディア経営企画、教育事業経営、人材アドバイザー、新聞社経営管理、トライアスリート

10年前に、大前氏の「最強国家ニッポンの設計図」を読んだとき、中国の経済力をうまく利用すべきとの発想について、とてもメイクセンスだと思った。
 
本書でも同様の提案がされている。
 
1989年の中国は日本の九州程度のGDPだったが、今では日本の2.5倍になっている。過去2000年の大半において中国のGDPは日本の10倍であり、日本は中国の10分の1の国としてどうすればいいのかを考えるべきであり、隣の中国を徹底的に利用するクオリティ国家を目指すべきだ、というもの。
 
カナダにとってアメリカは10倍の規模だが、カナダ人はそれを不満に感じてはいない。どう利用するかを考えている。
スイス、デンマーク、スウェーデンもドイツを最大限利用しているし、フィンランドとロシアの関係も同様。
 
スウェーデンのH&Mはドイツを最大の市場にしている。日本のユニ・チャームやピジョンも中国市場で着実に収益を上げている。
 
日本が絶対的な経済規模で存在感を高めようというのはもはや限界がある。経済規模はそこそこでも、一人当たりGDPが大きく、国民一人ひとりが豊かで、民度が高く、誇りが高く、クオリティの高い国家を目指すべきだと思う。
 
アジアで成功しているのはシンガポールあたりか。シンガポールは1966年から二言語教育を行っており、最近はSTEM教育にも注力している。PISAにおいて科学的リテラシー、読解力、数学的リテラシーの3分野で世界トップである。
 
時間はかかるが、日本も教育の方向性を見直すべきだ。
 
※STEMは、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Math)