「上級国民/下級国民」★★★★☆ | Jiro's memorandum

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泉治郎の備忘録 読書の感想や備忘録 ※ネタバレ注意
【経歴】 日本株アナリスト、投資銀行、ネットメディア経営企画、教育事業経営、人材アドバイザー、新聞社経営管理、トライアスリート

とても面白く、考えさせられました。橘玲さんの他の本もそうですが、現代の状況を鋭く分析し、とらえている本だと思います。

 

 

資本主義、自由主義のおかげで、世界はどんどん豊かになりました。

 

その必然として、経済格差は広がりました。

 

お金持ちは超お金持ちになり、小金持ちも増えました。

 

世の中全体が豊かになったおかげで、その恩恵は平均的な庶民にもおよび、みんなの所得は増えました。

 

世界の最貧層の人口も大幅に減りました。

 

しかし、幸せ(幸福感)は、絶対水準ではなく、他人との比較からもたらされるものなので、所得が少し増えても、他の人の所得が大幅に増えていると、幸せとは感じません。

 

中間所得層の崩壊、これが現代の社会問題です。

 

みんな平等に貧しいけれど、心はみんな平等に幸せ、という時代の方が良かったのでしょうか。

 

 

以下、備忘

 

団塊の世代が正社員だった頃は、正社員の既得権益を守る必要があった。このため、正社員と非正規社員の差別が温存された。団塊の世代が現役を引退してはじめて、同一労働同一賃金等の働き方改革が可能になった。

平成が「団塊の世代の雇用(正社員の既得権」を守る」ための30年だったとするならば、令和の前半は「団塊の世代の年金を守る」ための20年になる以外にありません。

 

人類の歴史では一夫多妻が主流。むしろ一夫一妻は人類の長い歴史では、ごく最近のこと。

生涯時(50歳時点)未婚率は男性23%、女性14%。これは、一部の男性が複数の女性と結婚しているからで、実質的な一夫多妻。女性は結婚しない生き方も選択できる時代。下級の男性と結婚するより、(離婚歴があっても)上級の男性と結婚したい。

 

農業革命、産業革命、そして現在は知識革命。最先端のテクノロジーを開発する少数の知識層に膨大な富が集中するのは必然。

 

トランプ大統領は、断絶された「プアホワイト」の支持を集めて成功した。