★★★★☆
著者の古市氏は、今引っ張りだこの社会学者だそうです。26歳とは思えないような幅広い知識と視野を持ちつつ、若者らしく生々しい若者の生態を描いています。読み物としても面白いです。
2010年時点で、20代男性の69%、20代女性の75%が現在の生活に「満足」と答えています。70~90年代は50%台でした。今の若者は、昔よりも「幸せだ」と感じています。
人はもはや将来に希望を描けない時に「今は幸せだ」「今の生活が満足だ」と答えるそうです。逆に、今は不幸だけど将来は良くなるという希望があると、「今は不幸だ」「今は生活に満足していない」と答えるそうです。
つまり、高度成長期やバブル期に若者の生活満足度が低かったのは「今日よりも明日はよくなる」と信じることができたから。そして、今の若者が幸せだと答えるのは、「今日よりも明日がよくなる」と信じることができないから、です。
人は将来に「希望」をなくした時、「幸せ」になることができるのだ。
(本書より抜粋)
財政危機のギリシャとか国としてやばいですが、若者にとって、まさに「夢も希望もない」日本も相当やばいですね。
戻るべき「あの頃」もないし、目の前に問題は山積みだし、未来に「希望」なんてない。だけど、現状にそこまで不満があるわけじゃない。
なんとなく幸せで、なんとなく不安。そんな時代を僕たちは生きていく。
絶望の国の、幸福な「若者」として。
(本書より抜粋)
その他、備忘
ムラムラ(村々)する若者。充実感を感じるのは仲間といるとき。ワン・ピース世代。
戦争が起きたら国のために戦うか?「はい」と答えた比率、日本人15%、スウェーデン80%、中国75%、アメリカ63%。
若者は貧困ではない。フリーターも30-40万円稼ぎ、若年層ほど世代内格差は小さい。
ただでさえ人口が少ないのに投票率は他の世代より低下、ますます政治的に無視される若者。
絶望の国の幸福な若者たち/古市 憲寿
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参照:
こんなに若者が幸福な時代はない
『絶望の国』を『希望の国』に変えるためには