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2006年出版の本です。いまさらですが、読んでみました。
笠原社長のインタビューで「居心地のよさ」という言葉が出てきます。このキーワードはずっと変わらないんですね。
さて、本書では、mixiの特徴として、実際の友人・知人と交流する「リアル特性」と友人の友人の日記を閲覧したりコミュニティへ参加したりする「バーチャル特性」の2面を有している点を挙げています。
そして、以下2つの仮説を想定し検証していきます。
1. リアル特性の高いユーザーはネット上のコミュニケーション活動に積極的
2. リアル特性の高いユーザーは相手を信頼しやすく影響を受けやすい
確かに、そんな感じします。
ところがアンケート調査の分析結果は、
■バーチャル特性のあるユーザーのほうがポジティブなネットワーク行動をとっている
■「リアル特性/バーチャル特性」と「信頼に関する特性」は相関がほとんどない
■リアル重視が強いユーザーほどバーチャルな関係に対してクローズド。一方、バーチャル特性のあるユーザーはリアルと同等かそれ以上にバーチャルな関係においても高い信頼を持ち影響を受ける(友人の日記からも友人の友人の日記からも高い影響を受けている)
というものでした。実際に知らない友人への高い信頼傾向を持つユーザーが最もmixiにおいて「ネットワーク活動を活発にする存在」という結論となっています。
本書では、上記の最も活発な活動を行う「リアルな関係に依拠し、リアルな人脈を大切にしながら、バーチャル特性が顕在化した人たち」を「バーチャリアラー」と呼んでいます。
ネットワークの研究によって、強い紐帯と弱い紐帯にはそれぞれ利点があることがわかっていますが、mixiにおいても言えそうです。
参照:「「複雑ネットワーク」とは何か」
5年前の本ながら、興味深いデータや分析がありました。研究色が強く(しかし分かりやすく)、一般的な企業本や業界本とは一線を画する、価値のある本です。
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◆「高いリアル率」と「バーチャルコミュニティへの低い参加率」ではすべてのネットワーク行動項目との間で負の相関⇒バーチャル特性項目とネットワーク行動項目との間に正の相関があるのではないか
◆「バーチャル信頼に関する特性」ではマイミクの日記だけでなく友だちの友だちの日記からも影響を受ける⇒リアル、バーチャルともに信頼しているという結果
◆第二世代ネットコミュニティ特有の存在「バーチャリアラー」
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