「昭和16年夏の敗戦」 | Jiro's memorandum

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泉治郎の備忘録 読書の感想や備忘録 ※ネタバレ注意
【経歴】 日本株アナリスト、投資銀行、ネットメディア経営企画、教育事業経営、人材アドバイザー、新聞社経営管理、トライアスリート

★★★★☆


昭和16年、総戦力研究所が創設され、平均年齢33歳のエリートたちによる疑似内閣が組閣された。同年夏、その疑似内閣が行ってきた日米戦争のシュミレーションが出した結論は日本必敗。しかも、敗北に至る過程も非常に正確に予測できていた。

負けるとわかっていた戦争になぜ踏み切ったのか。終戦直後からずっと言われていることです。

組織のしがらみ、過去のしがらみ、外部団体の圧力、国のプライド、過信(日露戦争の勝利、大和魂など)。いろいろあると思いますが、そういうしがらみのない柔軟で冷静な判断が可能な若手エリートたちは適切な結論を導いていました。

しがらみやバイアスを排除しなければ正しい判断は難しいし、正しい判断ができたとしても実行が難しい。これは企業も同じ。企業だけでなく、日常のすべての判断に共通することだと思います。

企業などの組織の場合、優秀な若手を抜擢するとか、経営陣を入れ替えるとか、効果あると思います(ダメな会社がM&Aされたあと良くなるパターンとか)。また、客観的な立場の外部コンサルの存在意義もあると思います。


なお、東條英機は「戦犯」「独裁者」「悪玉」と思っている方は、この本を読むことをお勧めします。陸軍を抑えられるのは元陸相の東條英機しかいない、と首相に担がれた東條英機の苦悩が描かれています。



昭和16年夏の敗戦 (中公文庫)/猪瀬 直樹

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