「夢で終わらせない農業起業」 | Jiro's memorandum

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泉治郎の備忘録 読書の感想や備忘録 ※ネタバレ注意
【経歴】 日本株アナリスト、投資銀行、ネットメディア経営企画、教育事業経営、人材アドバイザー、新聞社経営管理、トライアスリート

★★★☆☆

縁のない業界の本を読むのも視野が広がっていい。世間はちょっとした農業ブームだが、実際はどうなのだろう?


就農人口が減っている。離農後の農地はどんどん増えているが40%は放置したまま。いい土地が手に入りやすくなっている。農業機械の60%も放置したまま。

新規に就農する場合、農地も機械も借りるのが合理的。農地を買ったら税金かかるし、借りれば費用になり節税できる。

無利子の融資制度もいろいろある。農業への新規参入のハードルは意外に低い。

問題は技術。勉強して仮説検証を繰り返して経験を積むしかない。就農準備学校とかインターンとかもあるらしい。いずれにしても、好きでなければ続かないだろう。

案外ハードルと感じるのは、村社会における付き合い。謙虚に常識的に行動すれば問題ないだろうが、共同作業とか結構あるらしい。会社の人間関係よりめんどくさそう。

差別化はどこで図るか。販売であればネット、もぎとり、レストラン併営、直売所、B2B直販、などか。もぎとりのテーマパーク的農園の事例など面白かった。味とかブランドでの差別化は相当ハードル高そう。

日本の農業の生産額は8.4兆円。酪農・畜産2.6兆円、野菜2.1兆円、米1.8兆円、残り1.9兆円は果物や花卉など。

一般的に、小売価格の約半分が農家の取り分。残りをJA、卸、小売が分ける。ちなみに、外食産業は24兆円。外食の原価率は確か20-30%くらい。

家族労働1時間当たりの農業所得。米で1100円。高いのは、小麦2600円、トマト1400円など。安いのは、大豆176円、ネギ700円など。時給と考えていいのだろうか。これだけみると、いまいち夢の無い数字だ。

人から聞いた話では、いちごの里とか面白いらしい。あと、中村農場の親子丼とか、めちゃくちゃうまいらしい。

一過性の農業ブームで終わることなく、どんどん新規参入が増えて、競争で磨かれて、おいしいとか安いとかだけでなく、常識を破るような新し価値が生まれることを期待したい。



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