「株式会社」 | Jiro's memorandum

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泉治郎の備忘録 読書の感想や備忘録 ※ネタバレ注意
【経歴】 日本株アナリスト、投資銀行、ネットメディア経営企画、教育事業経営、人材アドバイザー、新聞社経営管理、トライアスリート

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普段、株式会社の仕組みなど常識として理解しているつもりで、深く考えることはありませんでしたが、この本は株式会社の歴史が制度面、経営面、政治面、などからうまくまとめられていて、非常に参考になりました。

株式会社のメリットの本質は、リスクとリターンを分担できる、損失は出資額に限定される、権利(株式)を自由に売買できる、営業権など資産を帰属させることができる(法人として契約できる)、など。

株式会社の発明によって、リスクの大きかった大航海が可能になり貿易が盛んになりました。鉄道などの巨額資本を必要とする事業も発展しました。会社設立の自由度を高めた欧米の経済は成長し、民間会社が発達しなかった中国やイスラム諸国は取り残されました。

また、大規模化、コングロマリット化、労働者重視(ドイツ、日本など)、専門経営者と株主の分離(アメリカ)、など経営手法は時代によって流行がありました。そして今後の株式会社の将来像としていろいろ説はありますが、「小規模化」、「ネットワーク化」は着実に進行すると思います。

歴史的にみると大会社の支配力は以前に比べ低下していて、先進的な産業ほど小規模企業の活動が活発です。IT産業など典型です。よく言われていることですが、資本よりも個人の知識が成功のカギを握るようになっていて、小企業がネットワークをうまく活用して大企業に挑戦できる時代になっています。

経済成長に株式会社(民間会社)の力は不可欠です。ネットワーク化で小企業でも多国籍化は当たり前の時代、法人税引き下げは絶対必要ですね。



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