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「龍馬伝」効果でしょう。近所の書店でランキングに入っていました。
歴史小説は脚色が多かれ少なかれあるので、「実際はどうだったのだろう」と、つい冷静になって疑いながら読んでしまうことがある。この本は完全にノンフィクションで史実と著者の解釈を明確に分けて(しかも味のある語り口調で)書いてあるので余計な猜疑心を持つことなく幕末を非常に堪能できました。幕末好きにはたまらない一冊。
著者の解釈で面白いなと思った一例。
「日本人は往々にして、たしかな情報が入ってきていても、起きたら困ることは起きないことにしようじゃないか、いやこれは起きないに違いない、そうに決まっている、大丈夫、これは起きない、となってしまうんです。」
黒船が来る情報は3年前から何度となくもたらされていたのに日本人には上記の通弊があるので黒船は来ないと判断していて、実際に来たとき予測していたにもかかわらず大狼狽したという。太平洋戦争(ソ連の満州侵攻の際など)も同じだと。
現代の政治やビジネスの世界でも、こういうバイアスはしっかり存在しているのではないでしょうか。
幕末史/半藤 一利
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