本書のクラウドは群衆の意味。集団的知性などインターネットのポジティブな事例が盛りだくさんな本です。
本書にスタージョンの法則というのがでてくる。UGCの90%はカスだというものだ。ただ、言いたいことは10%はカスではないということ。そしてごく一部はむしろ素晴らしい。
若干異なる法則で、参加型メディアの1対10対89の法則というのがある。100人中1人は実際に何かを作り出し、10人はその人の作品に投票し、あとの89人はその作品を消費するだけ、というものである。
クラウドソーシングの真骨頂は、最高の才能を発掘すること、そしてそこそこの才能が最高の才能を支援すること、そうやって大きなパワーを顕在化させることだと思う。最たるものがリナックスやウィキペディアだ。
身近な例で妙に納得したのがクイズ・ミリオネアの事例。クイズ・ミリオネアの「オーディエンス」の正解率が91%と非常に高いのは、正解を知っている人がわずかしかいなくても数字として浮かび上がるためだと。例えば100人中4人のみが正解を知っている場合、オーディエンスの回答は正解が28%、残り3択がそれぞれ24%になる。
群衆の中で本当にパワーを発揮するのはごく一部だが、群集の裾野が広がることでパワーを発揮する人の絶対数は増えるし、天才が現れる確率も高まる。さらに、小さい頃からネットに親しんでいるデジタルネイティブの10代が社会にどんどん出てくれば、そのような現象が加速することは間違いないと思う。
※参加型メディアの1対10対89の法則はダークサイドにも当てはまるのではないかと思った。例えば、ネガティブな投稿をする人が1人、それに便乗する人が10人、見ているだけの人が89人、とか。
以下、備忘録
■取り上げられている事例(一部)
インノセンティブ トップコーダー IEM(アイオワ電子市場) マーケットクラシー アイストックフォト スレッドレス グーグル ディグ キヴァ セラバンド
■クラウドソーシングのルール
1.正しい方式を選ぶ(集団的知性、群衆の創造、群衆の投票、群衆の投資)
2.正しい群衆を選ぶ
3.正しい動機を与える
4.早まってリストラしてはいけない
5.ものいわぬ群衆、あるいは慈悲深い独裁者の原則
6.ことを単純にし、小さく分ける
7.スタージョンの法則を忘れない(90%はカス)
8.スタージョンの法則を逆手にとって、10%の存在を忘れない
9.コミュニティはつねに正しい
10.自分のために群衆に何ができるかではなく、群衆のために自分に何ができるかを問う
クラウドソーシング―みんなのパワーが世界を動かす (ハヤカワ新書juice)/ジェフ ハウ
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