「クラウド化する世界」 | Jiro's memorandum

Jiro's memorandum

泉治郎の備忘録 読書の感想や備忘録 ※ネタバレ注意
【経歴】 日本株アナリスト、投資銀行、ネットメディア経営企画、教育事業経営、人材アドバイザー、新聞社経営管理、トライアスリート

★★★★☆

今でこそ、電力は電力会社から買うのが当たり前だが、過去振り返ると私設発電所が大規模な中央発電所に「規模の経済」によって取って代わられるという歴史があった。情報技術も電力と類似性があって、個人の情報処理を中央の巨大な機械が行う、ユーティリティコンピューティングの時代になっている。

ユーティリティコンピューティングの実現によって、平等に情報技術を活用できるようになった個人は多大な力を得ることになったが、一方で「中央記憶装置」に個人の情報・履歴がどんどん蓄積されることによって、企業、国家、その他機関が個人をコントロールできる力も高まっている。将来、グーグルが目指す脳神経とコンピュータネットワークが接続される世界では、個人が考えていることが瞬時に処理される夢のような便利さがあるが、そういう情報がすべて「中央記憶装置」に吸い上げられてしまうというのは、ちょっと怖いというか何となく気持ち悪い世界でもある。


まあ、こういう、インターネットの利便性とリスクの議論はこれまで同様これからもずっと続くと思うが、トレンドは変えられないという前提で、ポジティブに考えたほうがいいんだろうなあ、と思う。



クラウド化する世界/ニコラス・G・カー

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