「ファンドマネジメント」 | Jiro's memorandum

Jiro's memorandum

泉治郎の備忘録 読書の感想や備忘録 ※ネタバレ注意
【経歴】 日本株アナリスト、投資銀行、ネットメディア経営企画、教育事業経営、人材アドバイザー、新聞社経営管理、トライアスリート

★★★★☆

教科書的かつ専門的ではあるが、山崎氏の味のある文章により、さほど退屈とか苦痛とかを感じずに読める。投資に興味がある人はこの本に挑戦してみてもいいと思う。プロの投資家でも陥ってしまうバイアスとか、結構使えそうなアノマリーとか、そもそもファンドマネージャーとはどういう仕事をするのかとか、参考になるであろう。

コラム的な位置づけだが、競馬市場の効率性に関する研究が面白かった。高配当馬券より低配当馬券のほうが投資収益率が高いという話。低配当馬券は当たっても面白くないので割安にプライシングされるというのがその理由。特に最終レースではこの傾向が強い。損を取り返そうと高配当馬券をオーバープライシングしてしまうからだと。

なお、競馬の回収率は75%で低配当馬券に限っても回収率はせいぜい100%くらいのようなので、やっぱり競馬には手を出さないほうが賢明。娯楽という点でも、1.2倍とかの馬券が当たっても大して楽しくないだろうし。


その他、備忘録

「隠すことができる失敗は隠せなくなる大きさまで育つ」
P.93

投資しにくいと思うマーケットや銘柄ほど妙味のある投資対象である可能性が高い
P.109

「海のほか何もみえないときに、陸地がないと考えるのは、決してすぐれた探険家ではない」(ベーコン「学問の進歩」)
P.121



著者・山崎元氏のブログ「王様の耳はロバの耳!」もお薦めです。




ファンドマネジメント―マーケットの本質と運用の実際/山崎 元

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